それを聞いちゃおしまいよ

資格試験の勉強は、大学などの勉強とは違い自身で「考え」なければなりません。

専門家になるためのもの

大学の勉強も専門的な知識を得るという側面があるのは否定しませんが、資格試験の勉強とは全く違います。資格試験の勉強は、専門家になるためのものです。

専門家は、さまざまな事柄について、自身の見解を求められます。
「◯◯という法律に根拠があるから、こうなる」というように、法律など客観的な根拠をもとに判断を下さなければなりません。

大学の勉強が、テキストをある程度、暗記していれば及第点は取れるのに対し、資格試験の勉強は、暗記だけでなくそれを使いこなさなければならないわけです。

それを踏まえると、「わからないからすぐに聞く」というのは長い目で見ると良いとは言えません。わからないのであれば、まず調べる。それでもわからなければ、調べ方が悪いか、前提となる条件や資料が揃っていないから、それらをきちんと整える。

模範解答はない

専門家として活動(私は税理士なので、税理士を中心に述べますが他も基本的には同じでしょう)していくと、模範解答のない問題ばかりにぶつかります。

高校や大学では、基本的には正解のある問題が出題されますが、専門家が扱う実際の案件は、一筋縄ではいかないものも多いです。どちらが難しいかということでなく、性質が違うということです。

前提がしっかりと整備されていて、解答を導くための材料が揃っていれば、模範解答に行き着きますが、専門家が扱うのは、そもそも前提が整理されていない。
自身で、前提条件を揃えて、理屈や数値を組み立てて、結論に持っていきます。

模範解答がない問題というのは、他人に答えを求めることは出来ません。

それを聞いちゃ「おしまい」

上述したような、実際の案件においては、前提条件を揃えて結論を導きますが、クライアントはそこにお金を払っています。

専門家になろうと勉強している人は、それを聞いてしまうと、何をやってるのか分からなくなってしまいます。あるいは、自分で勝手に「こんな場合はどうなる?」みたいなことを考えがちですが、もちろんそれ自体はいいことなのですが、「こんな場合」の想定がクライアントにとって役立つのか、実際に起こり得るのかを無視していれば、無意味です。

勉強の場で、そういった考えることを放棄して、安易に他の人に聞いてしまうと、いざ自分が実際の案件にぶち当たったときに、途方に暮れてしまいます。
専門家がクライアントから貰う対価は、「脳にかいた汗」に見合うものですから、勉強期間は脳に汗をかかせることを惜しんではいけないでしょう。