「企業の寿命30年説」を検証

企業の寿命は30年程度と言われます。もちろん、それよりも長く存続している企業もありますし、あくまで平均を考えれば、という話でしょうが、妥当だと思われます。

1人の経営者が続けられるのは30年程度

企業は法人だから死にませんが、それを動かしている経営者は自然人ですから、体力の衰えもあれば、いつかは引退する時がきます。会社を廃業する最も大きな理由は「経営者の健康及び高齢化」だそうです。

創業者の社長で考えると、だいたい30歳前後で起業すると30年経てば60歳前後。
今の60歳は若いですから、まだまだバリバリ働けますが、早期リタイヤしてもいい年齢ではあります。

30代後半から40代前半で起業というパターンも多いですが、これだと30年頑張れば70歳前後ですから、引退ということが現実的な年齢です。

生身の人間ですから働ける期間に限りがあって、それを集約していくと30年くらいになるというのは妥当です。

経営者の交代は難しい

特に中小企業では、経営者の交代は難しい問題です。
そもそも後継者がいなければ、会社が儲かっていようと、引継ぐことはできません。
後継者候補がいたとしても、会社が儲かっていなければ、後継者候補は引き継ぎたくないでしょう。

仮に引き継いでも、得意先が今までどおり対応してくれるのかも問題としてありますし、それ以外にも、会社が借金ばかりであれば、引き継いでも仕方ないという状況も考えられます。

会社が儲かっていて、幸運にも後継者がいたとしても、引き継ぎ方法にも問題が山積です。
中小企業では、オーナー=社長として経営にあたらなければ、経営が円滑に行えませんから、後継者が株式を取得する必要があります。

取得するのに買い取るのか、貰うのか、その場合の資金や税金は?
と、こんなふうに経営者の交代には越えるべきハードルがいくつもあるのです。

どんなに優秀な経営者でも30年も経てば劣化する

30年という年月はとても長く、生まれたての子供も30年経てば、立派な大人になるのに充分な期間です。

そして、会社を取り巻く状況も大きく変化するのに充分な期間でもあります。
それは今から30年前を考えれば、わかる話で、技術革新も起こるし、経済を取り巻く情勢も大きく変わります。

変化は大きいのに、経営者は体力的に衰えていきますから、対応できないことはなくても、徐々にしんどくなってくる。
となると一線を退いて…と考えるのも当然かと。

企業会計の世界では、ゴーイングコンサーンなどという考え方がありますが、あくまで学術的な話で考えておいたほうが良さそうです。