減価償却の仕組み

 一般の方もよく使われるあるいは耳にする「減価償却」という言葉ですが、どういった意味なのでしょうか?今回は簡単な仕組みをご紹介します。

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減価償却は費用の配分

 減価償却とは固定資産の取得原価を耐用年数における各会計期間に費用として配分することです。取得原価とは簡単に言えば取得のために支出した金額(買った値段+付随費用)です。

 

 固定資産は全額を取得した時の費用とは出来ません。固定資産は、長期間利用して収益を獲得するために使うものだからです。上の図の例ですと、3年間利用出来る固定資産であれば、利用出来る期間(3年間)にわたって費用として配分しましょうと。この固定資産を利用することによって収益も獲得出来るはずですから、その収益と対応するように費用を配分しているわけです。すると収益と費用が対応しますので正確な利益(利益=収益−費用)が出ます。

 

 会計上は固定資産の全額を取得した時の費用とすると、翌期以降の収益と対応する費用が無いので、利益が正しくないと考えています。

 

 簡単に言えば、減価償却とは上記の理由から買った金額を一定期間に分けて少しずつ費用にしていく会計処理のことです。

 

減価償却の対象となる資産

 減価償却の対象となるのは、事業に使われている建物、建物付属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などです。一方、土地や骨董品等のように時間の経過に応じて価値が減らない資産は減価償却の対象となりません。

 

耐用年数は決まっている

 固定資産の耐用年数は、資産ごとに決められています。実務的には、「減価償却資産の耐用年数に関する省令」に記載されていますので、これらのなかから該当する年数を選ぶこととなります。

 

 ちなみに、耐用年数とは減価償却の計算をするために考えられた年数であって、耐用年数が過ぎたからといってその資産が使えなくなるわけではありません。会計上の価値の持続する期間ぐらいの意味です。

 

償却方法

 減価償却の方法として一般的なものは定額法と定率法です。

 定額法とは毎期同額の減価償却費を計上する方法で、定率法とは期首未償却残高に一定率を乗じた減価償却費を計上する方法です。

 どの方法を選択するかは会社の自由ですが、その方法は税務署に届け出なければなりません。何も届け出がなければ、税務上は法人は定率法(建物をのぞく)、個人事業主は定額法を選択することとなります。