定期預金が流動資産になってるのは間違い? 会計処理の判断基準を整理

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定期預金は原則として一定期間の解約ができず、流動性が低いと考えられるため、「流動資産に計上するのはおかしいのでは?」と疑問に思う方も多いかもしれません。

しかし実務では、定期預金であっても流動資産に計上されているケースが散見されます。この記事では、定期預金の会計処理に関する判断基準を整理し、実務上の注意点を解説します。

定期預金は流動資産?それとも固定資産?

学習簿記などの世界では定期預金と長期預金をしっかり特別していますが、実務ではテキトーに分けてるんじゃないかと思われる財務諸表をよく見かけます。

そもそも、流動資産とは概ね一年以内に現金化されるものを指すので、

流動資産に計上されている定期預金は、概ね1年以内に満期を迎えたり、あるいはある程度自由に引き出しができるものでないといけません。

満期までの期間が1年を超える預金は流動資産ではなく固定資産の長期預金とすべきでしょう。

税務には影響がないが、財務分析には影響あり

長期預金とすべき預金を、定期預金として流動資産に計上したとしても、税金は変わりません。

税金が変わらないので、重要視されていないのか…、定期預金と長期預金の区分が曖昧なものはチラホラと見かけます。

しかしながら、税金には影響がないのですが、財務分析などを行っていく際には影響が出てきます。

財務分析とは、財務諸表の各数値を足したり、引いたり、掛けたり、割ったりして、収益性や安全性などを分析するものです。

計算方法の前提として、それぞれの処理や区分けが適正になされていることが必須ですから、長期預金とすべきものを定期預金としていると、正しい分析ができません。

会計ソフトのデフォルト設定に注意

会計データや財務諸表は、会計ソフトと呼ばれる専用のソフトを用いて作成するのがスタンダードです。その際に、財務諸表を作る上での前提や、消費税の区分などはデフォルトで「一般的」と思われる設定をしています。

ただ、一般的なのは会計の勉強をしている人にとってであって、会計の専門でない人などにとっては間違うことも多くあります。

おそらく、データ作成の上で定期預金だから勘定科目も定期預金となるだろうと、処理してしまっているのだと思われます。

税金や資金繰りなどに大きな影響がでないので、ついついおざなりにしてしまいがちですが、適正な科目設定をしないと、せっかく作成したデータも経営の役に立ちにくくなってしまいます。

初期設定は、そいうった勘定科目までしっかり考えてくれる税理士に相談したいですね。