会計の本とかを読んでると、よく資産計上という言葉が出てきます(ついつい私も使ってしまうことがあります)が、どういった意味なのでしょうか?
資産計上とは一発で費用にしないこと
会社が、事業のために何か「モノ」を買ったとすると、一般的にはこの支出は全額この期間の費用になります。
普通は、支出をすると支払った金額は、支払ったときの費用ということになるのですが、なかには支払ったとき「だけ」の費用といえないものもあります。
このように支払ったときだけの、言い換えれば一発で費用することができないものは、「資産計上」されます。
収益と費用が対応することが大事
ポイントは、収益・費用がそれぞれ「いつ」のものかということです。
会社は半永久的に続いていきますが、利益を計算する場合、期間を区切らないといけません。(期間を区切らないといつまでも利益の計算ができません)
期間を区切るには、収益・費用が「いつ」のものかが大事になります。
会計の目的はいろいろありますが、大きな目的の一つは正しい利益を計算することです。
企業ががんばって得た成果(収益)からその成果を得るために使った犠牲(費用)を差し引いて、儲け(利益)を計算します。算式で表すと下の図のようになります。
同じ期間どうしの収益と費用を結びつけることを「対応」といいます。
正しい利益を計算するためには、収益と費用が「対応」してないといけません。
影響が一期間だけでないときは…
たとえば、事業のために機械を購入したとします。
この機械が3年間使えるとすれば、今期だけの費用とせずに3年間にわたって費用とすべきです。
ところが、機械の購入金額を全て買った期間の費用とすると、収益と費用が対応しなくなります。(下の図)
※下の図の収益は、機械を使うことによって得られる収益と考えます
影響が一期間だけでない(言い換えれば、何期間も使える又は何期間も収益を生み出す)ときは、支出を一発で費用とするのではなく、資産として計上します。
資産としていったんストックしておいて、収益に対応するように徐々に費用にしていきます。
(最終的に費用になる金額のトータルは変わりません。)
上の図のように、一回で費用にしないで、収益と対応するように徐々に費用にしていきます。
ちなみに、このように(固定)資産を徐々に費用化していく手続きを「減価償却」といいます。(どこかで耳にしたことがあるんじゃないでしょうか)
「資産」はお金を生み出すもの
資産とは、お金を生み出すものだといわれています。会社が頑張った成果は収益ですが、これも最終的にはお金になります。
計上とは、会計上の書類に載せるくらいの意味です。
当期だけの収益しか生まない支出であれば、全額当期の費用としますが、金額が多額で数期間にわたって収益(お金)を生み出してくれるものは、一発で当期の経費とはせず、資産としてストックする。
これが資産計上です。なので、簡単に言えば「一発で費用にしない」ということになります。
なぜ資産計上が重要かというと、いままで述べたとおり、当期の費用が変わってしまうからです。
費用が変わると、利益が変わります。利益から税金を払ったり、配当をしたり、会社の将来のために蓄えをしたりするので、これらが変わると会社の今後が大きく変わってしまいます。
多額の支出の場合には、一発で費用になるのか、ならない(資産計上する)のか常に検討が必要なのです。