売上が一社に偏るとどうなる?取引リスク・資金繰り・対策を解説

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得意先への売上が極端に偏っていませんか?

そのような売上の構成は、倒産リスクや交渉力の低下など、経営上の大きなリスクをはらんでいます。本記事では、売上が偏ることで生じる問題点と、リスクを抑えるための対処法をわかりやすく解説します。

売上が偏ると何が起きるのか?

売上が特定の得意先に偏ったままだと、事業を続けていくうえで大きなリスクとなります。

すべての得意先に対する売上を100%としたとき、一つの得意先に対する売上が20%を超えると偏り過ぎといわれます。

売上が偏ってしまうことのデメリットは

その得意先が倒産すると入金が滞って、そのお金で払おうと思っていた支払いができなくなり、自社も倒産する「連鎖倒産」が挙げられます。

資金繰り対策:倒産防止共済の活用

連鎖倒産を防ぐという意味では、倒産防止共済も有効です。

倒産防止共済は、得意先が倒産した際に連鎖倒産を防ぐための共済です。掛け金を支払うと、いままで掛けてきた掛け金のうち一定倍の金額を貸し付けてくれます。

節税にも有効ですし、売上が偏っている場合、資金繰りに多少の余裕があればぜひとも検討したいところです。

売上の偏りを「ただすこと」が大切ですが、時間のかかる問題でもありますので、2重3重の対策を取らなければいけません。

交渉力の喪失と「言いなり取引」の危険性

特定の得意先に売上が偏ってしまうと、その会社の言いなりにならざるを得なくなります。

相手に、自社の「生き死に」を委ねなければならないほど辛いことはありません。

力関係が一方的になれば、売上の大きさをいいことに低い利幅の取引をさせられたり、納期などで負担をかけられたり、入金のタイミングを一方的に変えられたり…ということも起こり得ます。

売上が多少厳しいくらいの状況であっても、特定の取引先に大きく依存するような大きな契約は、そういったリスクをはらみますので。

資金繰り悪化の連鎖と売掛リスク

その得意先の資金繰り悪化により支払い条件(自社からすれば入金条件)を変えられると、自社の資金繰りも悪化します。

売上を依存していることには懸念を持っていても、特に何もしていない会社もよく見かけます。

「まさか潰れないだろう」のような。

ただ、会社の内情は外から見ても把握できませんので、実際には資金繰りに苦しんでいるとかはよくある話です。

その得意先についてのネガティブな情報を耳にするたびに心配をしなければならないというのは精神衛生上よくないですし、経営にはデメリットでしかありません。

売上を分散する方法とリスク管理の実務

一つの得意先に対する売上の比率は全体の20%程度までとして、20%を超える得意先についての比率を引き下げるには

・他の得意先の売上を上げる
・その得意先の売上を減らす

と考えられますが、ケース・バイ・ケースなので状況に応じて対処したほうが良いでしょう。

他の会社の売上をあげるにしても、リスクの高い得意先だと困りますし。

一度上がった売上を下げたり、比率を下げるというのはなかなか大変ですので、普段からそれぞれの得意先がどのくらいの売上比率なのかは把握しておかなければなりません。