わからないことを人に聞いて、快く教えてくれることもあれば、怒られることもあります。人によるということもありますが、むしろ内容によります。
聞かれた側からすると
わからないことをすぐに聞いて、「そんなことはまず、自分で考えなさい」と怒られることがあります。
わからないから聞いているのに、聞いたら怒られるというのは理不尽な気がして、つぎから聞きにくくなってしまいます。
ただ、相手側の立場になってみると違った側面が見えます。
まず、単純に忙しい。聞かれた側も、自分自身のやるべき事を抱えているわけなので、手取り足取りあなたに教えるということは不可能でしょう。
そして、聞き方。教えてもらって当然という態度がダメなのは自明ですが、「何が分からないのかを端的に」聞かなければ、相手の時間を無駄にしてしまいます。
「端的に」聞く
聞く側は、「ここを聞こう」とずっと考えているので「どこの箇所か?」「その前提」などがわかっていますが、聞かれた側はエスパーでは無いので分かるべくもありません。
聞く側は、気を利かせたつもりで端折ったのがかえって、遠回りだったということです。
端的にというのは、端折るということでなく聞きたい内容を前後関係を含めて「過不足なく」ということなのです。
少なくとも、頭に浮かんだことをそのまま聞くというのでは、快く答えてもらえる可能性は限りなく低いでしょう。
「答えやすいように」聞く
もっとも大事なことですが、聞いてよいこととダメなことがあります。
聞いてよいことは、相手が「簡単に」答えられること。聞かれた側は家庭教師でもない限り答える義務もないですし、自分自身のすべきことを抱えていて忙しいのです。
質問内容がオープンすぎる(例)「経費とはなんですか?」
あまりにも漠然としすぎて(オープンすぎて)答えようがありませんし、明らかに時間がかかる。
ですから、内容を限定してあげる。(例)「友人との外食費は経費になりますか?」
「教えられること(=知識)」を聞く
質問として聞いていいことは、「簡単に」答えられることですが、見方を変えると「知識」に属することです。
野球で考えると、ルールやプレー方法は知識。聞かれれば教えられるし、割と簡単に答えられます。
技能は、「ホームランを打つ」こと。聞かれても答えようがないし、答えられたとしても、「出来る」かは別のハナシ。
プロ野球選手といった才能のある人でも、大変な練習を経て身につけるものです。
技能は、自分自身で考えて研鑽を積むことでしか獲得できないのです。
「うまい仕事の進め方を教えて下さい」なんて質問は、どう考えても答えてもらえないでしょう。
「空気を読んで」聞く
難しいこと(専門的なこと)になると、聞く側にもある程度の予備知識が入っていることが前提となります。
インタビュアーは事前に、相手のことを調べてから、インタビューすることからもわかる通り、聞く側は相手のレベルに合わせる必要はあります。
ちょうど、講義などをする場合に、話し手が聞き手のレベルに寄せて講義をするように。
ある程度の予備知識を入れておかないと、見当外れなことを聞いてしまって、相手に失礼になってしまうばかりか、心象を著しく害していまいます。
予備知識を入れてしっかりと自分の頭で整理しておくことで、ある程度空気の読めた質問になります。
「努力している姿勢」を見せる
講演、セミナー、講義あるいは仕事など質問をする機会は多くありますが、質問される側は相手のことを思って質問に答えることになります。
質問に答えるから、相手がより良くなる。
答える側は、苦労して得た知識を教えるわけですから、相手がより良くなることを願って答える。
ということは、質問する側は、そこにたいしてしっかりと努力しておく必要があります。その姿勢が通じれば、きっと良い答えがかえってくるでしょう。
普段から仕事をテキトーにやっている人に、仕事のやり方を丁寧に教えてあげようという人はいないでしょう。
すくなくとも、頭にふと浮かんだことをそのまま聞くなんてことはないんじゃないでしょうか。