事業を行っていると「打ち上げ」などで従業員さんなどと食事に行くこともありますが、これは経費になるのでしょうか?

はじめに
取引先の人(社外の人)と食事に行けば、「交際費」ということになるのはよく知られたことですが、社内の人いわば身内と食事に行くとどうなるのでしょうか。
取引先の人と食事に行ったような場合には、通称「10,000円ルール」の適用が考えられます。(かつては5,000円ルールとして知られていたものです。2024年4月から10,000円に引き上げられています)
通常は交際費で処理すると、法人税を計算する上では全額が経費(損金)とならないのですが、一人当たりの食事代が10,000円以下だと全額経費にすることが出来るというものです。
社外の人がいないとダメ
非常に便利な「10,000円ルール」ですが、ネックは「社外の人がいなければダメ」なことです。
言い換えれば、社内の人(要するに身内)だけで食事に行っても「10,000円ルール」は使えないってことですね。
特定の従業員との私的な食事
業務と無関係な食事
これらは、避けたほうが無難でしょう。
社内の人と食事に行ったような場合には、どのような科目で処理するのが適当でしょう?交際費、会議費、福利厚生費などが考えられます。
福利厚生費になるケース
よく言われるのは、全従業員を対象とした食事提供は、福利厚生費になるというものですね。
全従業員対象のランチ会みたいな。
これも、難しいのは従業員が家族(親族)のみで構成されていると、福利厚生費とみとめられ無いことが多いようです。
あとは、残業時の食事提供。
ただ、これも金額を縛ったりする通達があって、なかなか使い勝手が悪いというのが率直なところです。
会議費になるケース
そのまんまですね、会議中に弁当食べたりお茶飲んだりすれば会議費です。
もちろん、業務に関係する会議でないといけませんし、金額も妥当なことが望ましいのは当然ですが。
結局は常識的か?
交際費とすると、先程も述べたように全額が損金にはなりませんので、税金を考える上では少し不利です。
先に述べたように、会議費や福利厚生費も考えられます。
これらの科目で処理すれば、全額が経費(損金)になりますので税金を考えれば有利ですね。しかし、その線引きは結構曖昧です。
線引きが曖昧ゆえに、その処理には誰もが頭を悩ませるところで…
アルコールを伴うか、金額が常識の範囲内か、仕事の相談をするなど業務に関係あるか、参加者は全員なのか特定の者に限定されているのか、頻度が以上に多くないかetc
実務的にはその辺りを総合的に勘案して、科目を決定することになります。結局のところ、通達云々を抜きにすれば、常識の範囲内で処理するほか無いのですね。
ですから、常識的な打上であれば「福利厚生費」として問題ないでしょう。逆に言えば、経費にしたければ常識的な範囲内の食事にしてねってことです。
ちなみに、個人事業主の場合には「交際費」も「会議費」も「福利厚生費」も全額経費になりますので、どの科目で処理しても構わないのですが、先述したとおり常識的な食事などにとどめておきましょう。
証拠は揃える
経費として扱うためには、金額が妥当で、業務と関係するということが最低限の条件です。
そのうえで、実態などから勘定科目が付されることとなります。
領収書やレシートは保存しておくこと
参加者の氏名、人数、目的などはわかるようにしておくこと
(明細書などがあればベスト、少なくともメモくらいは残しておきたい)
社内規定なども作り、周知しておく
このあたりを守っておけば、少なくとも大怪我はしませんね。
冒頭の従業員と打ち上げは、以上を勘案すると、業務目的があれば交際費、ということになるかと思われます。