資金繰りの基本:現預金はいくら持つべきか?月商とのバランスで考える目安とは

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経営において、現預金(キャッシュ)は会社の命綱です。

しかし、その必要な金額は業種、支払条件、借入返済などによって異なります。この記事では、月商を基準とした現預金残高の目安と、自社に必要な金額を考える方法を解説します。

お金を持つべき理由とその重要性

お金の余裕は心の余裕であると同時に事業を運営する命綱です。
会社のお金(キャッシュ)が尽きると支払い不能となり、最終的には破綻してしまうためです。

ただ、お金(キャッシュ)には「色」がついていないので、使っていいのか悪いのかがわからなることもあります。

一方で、利益が上がっているからキャッシュも安泰かというとそうでもありません。
売掛金や在庫の増大などで利益が上がっていてもキャッシュは潤沢でないというケースもあるため、利益とキャッシュは一致しません。

したがって、事業を行ううえでは、「どのくらいのお金(キャッシュ)を持っているべきか」を常に考えなければなりません。

現預金はいくら持つべきか?

めやすは「月商の1ヶ月分」以上

会社が(最低限)持っておくべきキャッシュは、月商の1ヶ月分が目安とされています。

ここでいう現預金(つまりキャッシュ)は、会社が必要なときに支払いへ充てることが出来る「現金や普通預金など」です。

定期預金も会計上は預金ですが、解約の制約や担保設定がある場合には、すぐに使える資金とは分けて考えます。

「同じ」タイミングで見る

キャッシュの残高は変動するため、「いつのタイミングで見るか」によって残高が大きく異なります。

そのため、セーフティに考えるなら支払いなどを終えたタイミングで月商の1ヶ月分ほどをめやすに考えると良いでしょう。

月商(月あたりの売上金額)を目安にする根拠は、売上からお金を回収して、経費を支払うサイクルが基本的に1ヶ月サイクルで回っているため、不測の事態が起こって、売上の回収が滞ったとしても、手もとの現預金が月商の1ヶ月分ほどあれば、1ヶ月分の支払は可能となるためです。

月商1か月分を切ると余裕が少ない

手元の現預金(キャッシュ)が月商1ヶ月分を継続的に下回っている場合、入金された資金の多くを直近の支払いに回している可能性があります。

ただし、必要な現預金は、粗利益率、入金・支払いの時期、固定費、借入返済などによって異なります。月商1か月分を下回っただけで、直ちに資金繰りが危険とは限りません。

一方で、売上減少や入金遅延が発生したときに対応できる期間は短くなるため、継続的に下回っている場合は黄色信号と考え、将来の資金推移を確認すべきでしょう。

理想は「月商の3ヶ月分」

業種等にもよりますが、現預金(キャッシュ)の理想は月商2.5〜3ヶ月分くらいだとされています。

不測の事態が起こっても「融資を受けるまでの期間」をしのげるくらいの水準ですし、キャッシュに常に余裕を持つことで、先行投資や納税資金なども柔軟に対応できるということがあるでしょう。

とはいえ、中小企業では、達成がやや難しい水準ですので、まずは1ヶ月を目指し、その次に3ヶ月と目指していくのが現実的です。

現預金を多く持つことは小規模企業では問題になりにくい

では、キャッシュが月商の3ヶ月分を超えると更に良いのでしょうか?

あまりにキャッシュが多すぎると「資金効率が悪い」(お金をうまく使えていない。お金がなくなるのが怖くて、チャンスにお金を使えていない)という指摘がなされることがあります。

とはいえ、現実的には資金効率の悪さを指摘されるほど、資金を蓄積させるのは困難ですし、問題になりにくいため、なるべく多く持つという理想を追ったほうがよいと思います。

現預金を増やすには税引後利益の蓄積が必要

会社の現預金を増やすには、事業で利益を出し、税金を支払った後の利益を蓄積していく必要があります。

経費を使って利益を減らせば法人税等は減りますが、税金以上に現預金も減ります。そのため、節税を優先しすぎると、会社の財務基盤がいつまでも強くなりません。

節税するか、税金を支払って現預金を残すかの判断については、「節税するか、手元資金を残すか|黒字・赤字決算の判断基準」で詳しく解説しています。

現在の残高だけでなく、将来の資金推移を確認する

現預金は、現在の残高だけを見ても十分ではありません。

現在は月商1か月分以上の現預金があっても、今後、税金、社会保険料、賞与、設備投資、借入金の返済などが重なれば、数か月後には不足することがあります。

反対に、一時的に月商1か月分を下回っていても、売掛金の入金が確定しており、その後の支払いにも問題がなければ、直ちに危険とは限りません。

小規模企業では詳細な資金繰り分析まで行わなくても、少なくとも次の数か月について、主な入金と支払いを並べておくことが有効です。

「このままのペースなら、いつ現預金が月商1か月分を下回るか」を確認しておけば、経費削減や融資の検討を早めに始められます。

資金繰り・融資・経理体制に不安がある小規模企業の方へ

資金繰りや融資の判断は、決算書だけを見ても十分に判断できないことがあります。
日々の経理、納税予定、借入のタイミング、社長の資金感覚まで含めて整理する必要があります。

佐野税理士事務所では、小規模企業向けに、税務申告だけでなく、
資金繰り・融資・納税見込み・経営判断の整理まで含めたサポートを行っています。

この記事を書いた人
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税理士・佐野匡司
大阪の小さな事務所を運営する現役税理士。
官報合格(試験合格)+実務経験15年以上。
中小企業オーナーや資産形成を志す個人(特に共働き夫婦・パワーカップル)に向けて、
「リスクを抑えたお金の戦略」を発信中。

保険・投資・不動産などの販売とは無縁の独立系の立場から、
中立的で実務に根ざした情報をお届けします。

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