医療法人なりは「個人の資金繰り」に注意

医療法人なりする際、法人化後の「個人の資金繰り」をきちんとシュミレーションする必要があります。

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個人事業から「法人」へと運営形態を変えることを「法人なり」といいます。ドクターの場合も、法人成りすると「医療法人」になりますが、医療法人は普通の法人と違って行政への手続きが必要なため、手間とコストがかかります。

医療法人化の流れ
医療法人化の簡単な流れは以下の通りです

 1. 医療法人化のシュミレーション
  節税効果や、法人化後のキャッシュフローを検討します

 2. 基本事項の検討
  役員構成や、個人から法人へ引き継ぐ財産債務、決算期などを決めます

 3. 必要資料の準備
 4. 設立認可申請書の作成
 5. 行政への手続き
  都道府県との間で設立に向けたやり取りをします

医業以外の一般の事業の法人成りと同じような流れですが、行政への手続きが必要な分だけ手間がかかります。

手間がかかるのに医療法人化するということはそれなりのメリットが必要です。医療法人化のメリットは以下の様なものが挙げられます。

医療法人化のメリット
やはり医療法人化の最大の目的は税額軽減効果です。(いわゆる節税効果)

節税効果以外には、
 ①対外的信用度の向上
 ②事業拡大(分院の開設など)
 ③承継のしやすさ
 ④源泉徴収が無くなることによる資金繰りの改善
 ⑤退職金や保険などの節税策の拡大

などのメリットがある反面、「事務負担が増える」というデメリットも有ります。

「個人の資金繰り」に注意
医療法人なりする場合に、当たり前ですが税額がどの程度軽減されるのかをシュミレーションします。
そのうえで、わすれがちなのが法人化後の「個人の資金繰り」です。

ここでの検討が不十分だと、ドクターの生活する上での資金がしんどくなります。
会計で補足する収益や費用、その差額から計算される利益は、ドクター(事業主)の手元に残るお金と一致しません。 

また、医業特有の問題として「法人へ引き継げる借入金」は制限があるので、引き継げなかった借入金は個人から返済するしかなく、検討が不十分だと、法人化後の個人の資金繰りが悪化することがあるためです。

法人化シュミレーションでは、税額軽減効果だけを検討するのではなく、法人化後の「個人の資金繰り」を検討する必要があります。法人へ引き継げる借入金は制限があるので、引き継げなかった借入金は個人から返済するしかなく検討が不十分だと、法人化後の個人の資金繰りが悪化することがあるためです。