「定性的」と「定量的」という言葉は税理士になってからちょくちょく耳にするようになりました。知っていると意外と便利ですのでまとめておきます。
数字ではかれるかどうか?
経理や会計、その一分野である融資もそうですが、これらの分野は数字(大抵の数字は金額ということになりますが)で成り立っている側面があります。
それは、経理や会計は普段行われる取引(お金のやり取り)を一定のデータ(仕訳)に変換し、それらを集計したものだからです。
ところが、すべての要因を数値化出来るかというとそうでもありません。
「定量的」とは
簡単にいえば、数字ではかれるってことです。融資担当者がいう「定量的要因」といえば、決算書の数字のことを言っています。決算書の数字のように数字ではかれるものを「定量的要因」と言ったりします。
最近の銀行の融資は、決算書を重視していますので、「定量的要因」を重視しているともいわれています。具体的には、決算書の数字をコンピュータに入力すると、いろんな指標をはじき出して、融資が出来るか否かを格付けしているのです。
「定性的」とは
簡単にいえば、数字ではかれないってことです。融資の場面での「定性的要因」とは、数字ではかれない要因、すなわち経営者の資質とか、市場の環境や動向、会社ごとの特殊事情等です。
定量的要因は、決算書からの数字で把握できますが、定性的要因は数字ではかれない部分ですから、融資担当者が決めていく事になります。
融資担当者の無理なお願いを聞く必要はありませんが、日頃から仲良くつき合っておけば定性的要因がよくなる事もあるでしょう。(もちろん、決算書の数字がダメダメだと難しいですが)
一昔前の銀行マンは、定性的な分析ができて一人前といわれたようです。最近は、めっきりそういったことは減ったようですが…
税理士は定性的と定量的を行ったり来たり
税理士の仕事内容は、税理士及び業界関係者以外よく知られていません。
請求書や伝票を眺めて、専門的な判断の元に書類を作る…
ぐらいに思われている方も多いのですが、書類を作ると一口に言っても様々なことを検討する必要がありますし、段取りも必要です。
融資に関連して言えば、税理士も融資のお手伝いをしますが、その際に「事業計画」の作成をお手伝いすることも結構あります。
事業計画は、会社の進むべき方向性や市場動向などを踏まえて、数字に置き換えていく作業です。いわば定性的な内容を定量的な内容へと変換することとも言えます。
定性的な部分と定量的な部分を行ったり来たりするわけですが、一昔前の銀行マンと同じく、これができればいい仕事ができます。
定性的な部分をAIが汲み取れるかというと非常に難しいので、税理士の仕事がAIに取って代わられるという人はおそらくそういったことを知らないのでしょうね。
まとめ
定性的→数字ではかれない
定量的→数字ではかれる
ただし、税理士や銀行マンなどお金のプロはこの間を行ったり来たりできないといけません。