資産計上とは?費用処理との違いと減価償却の基本を解説

この記事は約4分で読めます。

会計や税務の話をしていると、「これは資産計上します」「一度に経費にはできません」といった表現が出てくることがあります。

資産計上とは、簡単にいえば、支払った金額をすぐに全額費用にするのではなく、いったん資産として処理することです。

たとえば、パソコン、機械、備品、ソフトウェアなど、数年にわたって使うものは、購入した年にすべて費用にするのではなく、資産として計上し、減価償却によって少しずつ費用にしていくことがあります。

この記事では、資産計上の基本的な考え方と、なぜ一度に経費にできない場合があるのかを、会計に慣れていない方にも分かるように整理します。

資産計上とは一度に費用処理しないこと

会社が、事業のために何か「モノ」を買った場合、一般的にはこの支出は全額「その購入した期間」の費用になります。

通常は、支払った金額は、支払ったときの費用となりますが、なかには支払ったとき「だけ」の費用といえないものもあります。

このように支払ったときだけの、言い換えれば一度に費用処理することができないものは、「資産計上」されます。

なぜ「資産計上」が必要なのか

収益と費用を対応させる考え方

ポイントは、収益・費用がそれぞれ「いつ」のものかということです。

会社は半永久的に続く前提ですが、利益を計算する場合には、人為的に計算期間を区切る必要があります。

期間を区切ると、収益・費用がそれぞれ「いつの期間」のものかが重要になります。

企業が事業活動によって得た成果(収益)から、その成果を得るための犠牲(費用)を差し引き、儲け(利益)を計算します。算式で表すと下の図のようになります。

「同じ期間」の収益と費用を結びつけることを「対応」といいます。

正しい利益を計算するためには、収益と費用が「対応」している必要があります。

資産計上したものは減価償却で少しずつ費用にする

たとえば、事業のために機械を購入したとします。

この機械が3年間使えるとすれば、今期だけの費用とせずに3年間にわたって費用とすべきです。

ところが、機械の購入金額を全て買った期間の費用とすると、収益と費用が対応しなくなります。(下の図)

※下の図の収益は、機械を利用することによって得られる収益と考えます

影響が一期間だけでない(言い換えれば、何期間も利用できる≒何期間も収益を生み出す)ときは、支出を「一度に費用」とするのではなく、資産として計上します。

資産としていったんストックしておいて、収益に対応するように徐々に費用にしていきます。(最終的に費用になる金額のトータルは変わりません。)

上の図のように、一度に費用としないで、収益と対応するように徐々に費用にしていきます。

ちなみに、このように(固定)資産を徐々に費用化していく手続きを「減価償却」といいます。(どこかで耳したことがある方も多いと思います。)

実務では「金額」と「使用期間」も確認する

実務では、すべての支出について「将来にわたって使えるか」だけで判断するわけではありません。

たとえば、事業で使うパソコン、機械、什器備品、ソフトウェアなどは、数年にわたって使用するため、資産計上の対象になりやすいものです。

一方で、金額が少額のものや、使用可能期間が短いものについては、購入時の費用として処理できる場合があります。

つまり、資産計上するかどうかは、

  • 何年くらい使うものか
  • 金額はいくらか
  • 会社の税務上、少額資産として処理できるか
  • 会計処理と税務処理にズレがないか

といった点を確認して判断します。

資産計上するかどうかで「利益」と「税金」が変わる

資産とは、お金を生み出すものだといわれています。企業が事業活動によって得た成果は収益ですが、これも最終的にはお金になります。

計上とは、「会計上の書類に載せる」との意味で理解すればよいでしょう。

当期だけの収益しか生まない支出であれば、全額当期の費用としますが、金額が多額で数期間にわたって収益(お金)を生み出すものは、一度に当期の経費とはせず、資産としていったんストックする。

これが資産計上です。つまり、簡単に言えば「一度に費用としない」ということになります。(口語的には「一発で費用にしない」)

資産計上が重要な理由は、「当期の費用」が変わってしまうからです。

費用が変わると、利益が変わります。

利益には税金が課されますし、税引き後の利益から配当や将来の積立をするため、これらが変わると税金が変わってしまいますし、会社の将来も変わってしまいます。

多額の支出の場合には、一度に(当期の)費用になるのか、ならない(資産計上する)のか常に検討が必要なのです。

決算書や経営数字を判断に使いたい方へ

決算書は、税金を計算するためだけの資料ではありません。
利益の出方、資金繰り、借入余力、固定費の重さ、売掛金や在庫の状況など、会社の状態を確認するための資料でもあります。

「数字はあるが、経営判断に使えていない」
「試算表を見ても、何を確認すればよいか分からない」
「決算前に税金や資金繰りの見通しを立てたい」

このような場合は、経理処理だけでなく、数字の見方を整えることが重要です。

佐野税理士事務所では、小規模企業向けに、決算書・試算表・資金繰りを経営判断に使うためのサポートを行っています。

この記事を書いた人
アバター画像

税理士・佐野匡司
大阪の小さな事務所を運営する現役税理士。
官報合格(試験合格)+実務経験15年以上。
中小企業オーナーや資産形成を志す個人(特に共働き夫婦・パワーカップル)に向けて、
「リスクを抑えたお金の戦略」を発信中。

保険・投資・不動産などの販売とは無縁の独立系の立場から、
中立的で実務に根ざした情報をお届けします。

決算書と経営数字の見方
スポンサーリンク