税理士との顧問契約を検討する際、「近くの事務所の方が安心では?」と考える方も多いかもしれません。しかし実際のところ、距離が与える影響はそれほど大きくない場合もあります。
本記事では、税理士の「距離」に関するよくある誤解と、選定時に本当に注目すべきポイントについてわかりやすく解説します。

税理士は近い方がいいのか?結論は「どちらでもよい」
ビジネスを行う際に、外部の専門家と顧問契約を締結することはよくあります。我々、税理士などはその典型です。
顧問契約の締結にあたって、「近いほうがいい」のか?と迷われるかもしれませんが、結論は「どちらでもよい」です。
よく「遠くの親戚より近くの他人」とかいいますが、税理士等を捜す際の一番の要因にはならないと思います。
遠いと移動に時間がかかるので不便ではありますが、通信技術の発達等で移動時間がそれほど問題にならないケースもありますので一概には言えません。(近年はリモートワークなども進んでることは、その証左でしょう)
近い税理士のメリット:すぐに来てもらえる安心感
「近いこと」によるメリットとしては、すぐに来てもらえるということでしょうが、そもそも税理士にすぐに来てもらわないと困るということはほとんど無いですから。
私自身、税理士業を長く続けていますが、「いますぐ来てくれ」と言われたことは一度もありませんし、税理士が関わることは「事前に」わかっていることだから(申告など)、そのような対応をしている税理士はいないでしょう。
ですから、税理士は「近いにこしたことは無いけれど遠くてもそんなに問題は無い」といったところでしょう。
遠方の税理士でも問題ない理由とは?
先述したとおり、税理士が関わることはすべて「事前にわかっている」ことです。申告も期限がわかっているし、年末調整などの手続きも「いつやるか」はわかっています。
ですから、今すぐ必要ということはほとんどないです。
通信技術も発達していますから、オンラインでも打ち合わせも可能ですし、そもそも税理士自体、全国どこの会社や個人事業主の申告も代行できますので、法的な縛りもないです。
訪問しない税理士は問題か?
そうなると「遠隔地の税理士」でもいいのかという問題になるのですが…
税理士の立場からすると、正直なところ、クライアントのもとを毎月とは言わずとも年に1回とか2回でも訪ねていた方が安心というのはあります。
帳簿や書類関係がどのように整理されているのかとか普段の商売の流れがどのようになっているのかなどなど実際に足を運んで目で確認しないと分からないこともありますので。
個人的な意見ですが、税理士顧問料は税理士とクライアントの頭の中を共有化するためのお金だと思っています。お互いがある程度、同じようなビジョンを持てれば、より高度なサポートが可能となりますし、税務申告の精度も高くなるからです。
税理士・会計事務所がクライアントのもとを訪問しないケースもありますが、1度も訪問しないのは望ましくないと思います。(もちろん、クライアントが訪問よりも予算を重視するのであれば仕方がない面もありますし、事業の詳細を別の方法で共有化できるなら例外的に可と言えるかもしれません)
距離よりも「意思疎通のしやすさ」が大事
近いか遠いかという問題はそこまで大きな要素ではなく、コミュニケーションが円滑にとれるくらいの距離感がいいと。
物理的な距離感よりも、心理的な距離感。
書類っぽいものを作ってくれていても、意思疎通がとれていない状態では、税務調査対策上も望ましくありません。
契約内容にもよりますが、社会人としての分別は持ちつつも、ある程度は聞きたいことを聞けて、話したいことを話せるという「距離感」であれば物理的な距離感はそこまで問題になりません。