申告するのは自分のため

 税金を計算する上で、税額を減らす規定の適用を受けようとすると、「申告」が要件になることがあります。

 税金を計算する上で、適用を受けると有利になるもの(税金が減る)があります。

 

 そういった規定はたくさんあるのですが、大抵は「申告」要件があります。つまり、税金を「申告」するから適用が出来るということです。

 

 もちろん、申告が要件になりますので、申告をしなければ適用を受けることが出来ません。申告要件があれば、税金がたとえ「0円」でも申告しなければなりません。

 

 例えば、贈与税で「直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税」という規定があります。

(参考)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

 

 普通、お金をもらうと贈与になります。贈与ということは、貰った方は得をしているので、そこに担税力(税金を払う力)があると考えて贈与税を課税します。

 

 しかし、直系尊属(親や祖父母など)から住宅を取得するための資金として金銭の贈与を受けた場合には、一定の条件をクリアすれば500万円〜1500万円の間で一定の金額が非課税になり税金がかかりません。

 

 例えば、親から単に1000万円を貰っただけだと、

(1,000万円 − 110万円)× 40% − 1,250,000円 = 2,310,000円

 の税金がかかります。

 

 ところが、上記の規定を使うと…

 平成25年度の贈与で省エネ住宅だった場合には1,200万円まで非課税だから

1,000万円 − 1,000万円(※) = 0

※1,000万円 < 1,200万円 ∴1,000万円

 

 となり、税金が「0」になります。(前提として、1,000万円の住宅取得資金以外の贈与が無かった場合)

 

 で、この税金をゼロにするには放っておいてもダメなんです。申告をしなければいけません。「申告要件」があるからです。

 

 何もしないと、上記の例では「2,310,000円」の税金を支払わなければなりません。

 

 確かに申告要件のある規定の適用を受けようと思うと、申告書に一定事項を記載したり一定の書類を添付したりと面倒です。場合によっては、それら資料の収集に手間取ります。

 

 しかし、それだけの税金を優遇されるのだから手間がかかって当然とも言えます。(厳しいですが…)

 

 面倒くさい税金の申告の手続きも、「自分のため」と思えば何とか我慢出来るのではないでしょうか?