相続でよくあるチョッとしたトラブル…納税資金

相続のトラブルというと「遺産の取り分」で揉めるというのがよくある話ですが、親族同士仲が悪くなくてもちょっとした事でトラブルになるということもあります。遺産の取り分ほどではないけれど納税資金の問題はしっかりと考えておきたいところです。

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日本の相続はたいてい土地持ち

法人税や所得税のように利益に対して課税される税金だとお金の裏付けがあるので納税資金が問題になることはないのですが、相続税は財産に対して課税されるため換金が難しい財産などを取得した場合には納税資金の問題が生じます。

 

相続税は原則として金銭で一時に納付しなければならないため、納税資金がないと対応が必要になりますが、事前に対策をしていないと取れる方法は限られてしまいます。

 

相続税を金銭で一時に納付できない場合に分割で支払う方法(=延納)や相続で取得した財産そのもので税金を納める方法(=物納)といった方法もあることはあるのですが、条件的に非常に厳しいです。

(参考)相続税の納税資金を準備しないと…延納、物納は非常に厳しい 

 

延納や物納が出来ないことはないのですが、手続きがめんどくさく金銭納付よりも資金的に(利息が発生したりするので)不利になることが多いです。

 

日本で相続税を収める人は大抵が土地持ちです。(相続財産に占める土地の割合は大体50%ほど)土地は換金が難しい財産ですから、納税資金が不足する人は現実的には銀行などの金融機関から借入をしているようです。(延納の利息よりも金融機関で借りて一括で支払ったほうが利息が有利なことが多いので)

 

納税資金対策は保険が有効

昔からある代表的な納税資金対策が保険の活用です。

 

被保険者(保険の対象となる人…この人が死んだら保険金を払いますという人のこと)を相続の対象者(被相続人といいます)、保険料の負担者も被相続人として、遺族の方を保険金受取人とする保険に加入しておくという方法です。

 

家族構成が夫・妻・子という3人家族で夫の相続を例にします。

(例)

被保険者→夫

保険料負担者→夫

保険金受取人→妻or子

 

このような保険に加入していれば、夫が死亡した際には妻or子に保険金が支払われるため、保険金を相続税の納税資金に充てればよいわけです。事前にどのくらい税金がかかるのかを試算しておき、必要な分だけ保険に加入しておけば納税資金に困るということはありません。

 

相続対策というと法律スレスレのものから安全性の高いものまで様々ですが、保険を活用して納税資金を捻出するという方法は伝統的な方法で安全性も高いのでお勧めです。

 

保険金は相続税の対象になるが…

ただし、上記の保険金は相続税の対象となる財産に該当します。(保険金には相続税の課税対象となるものとならないものがあるのですが、上記のものは相続税の課税対象となります。)


ですが安心して下さい。

この例の場合だと妻と子は夫の相続人に該当しますので、保険金のうち一定金額が非課税となります。この場合、法定相続人は2人ですので相続人の取得した保険金合計1,000万円までが非課税(500万円×2人)となるので、仮に妻と子がそれぞれ2,000万円ずつ保険金を取得していれば各々500万円ずつ合計1,000万円が非課税です。

 

(参考)相続税を節税…保険の活用 

 

つまりこうゆうことですね…

①延納や物納は条件が厳しく納税資金の準備が不可欠

②納税資金の準備には生命保険の活用が有効

③保険金には相続税が課税されるので「保険金受取人を相続人」にして、「保険金の非課税」を利用する

以上を実行すれば低リスク・低コストで納税資金の準備が可能になる