遺言を作るときは換金性も考えて

昨今の相続ブーム(?)の影響で、遺言への関心が高まっています。しかし、下手に作成した遺言はかえって遺族の迷惑になるので作成には注意が必要です。

遺言セミナーが流行ってるけど…

遺言セミナーって結構流行ってます。近所のスーパーの一角で催されていたり、葬儀屋さんのイベントでやってたり、銀行の店舗に大きな文字で「遺言相談」なんて書いてたりするのを見かけます。

 

終活なんて言葉が流行りだしたのもいつからかは分かりませんが、同じく遺言もその辺りから関心が高まってきたようです。

 

遺言を作成するとなると司法書士さんなどの仕事になるわけですが、遺言を商品にする業者はいくつかあります。司法書士さん以外にも行政書士や信託銀行などでしょうか。

 

よくわからない相続診断士とかFPとかも遺言の相談に乗ったりしてるんですかね。(まぁ、相続手続き業務は国家資格がないとできない業務があるので国家資格者に…ex.相続登記→司法書士、相続税→税理士…頼んだほうがリスクが低く結果としてコストも抑えられることが多いです。司法書士や行政書士をどう選択するかという問題はありますが)

 

遺言を作成する際に気をつけたいこと

遺言の作成にあたっては公正証書で作成するとか自筆証書で作成するとか言った基本の他に、気をつけたいことがあります。

 

それは相続税の申告が必要なのかどうかです。

 

御存知の通り、相続税の改正にともなって相続税申告の必要な人が増えました。東京国税局管内ではなくなった方の10人に4人は相続税の申告が必要になるのではと言われています。

 

ですから、税金の支払財源をきっちりと用意できるように財産の割り振りを考えて上げる必要があります。あまり知られていないことですが、相続税の物納(相続税を納める資金がないので相続で取得した財産で税金を納める方法)は要件が厳しく金銭的な負担を考慮するとなかなか気軽に使える制度ではありません。

 

換金性の低い財産ばかりを集中させない

例えば財産を譲る予定の子供が二人いたとして、長男Aには土地などの不動産で1億円、次男のBには株式など金融資産で1億円遺したとします。一見すると公平なようですが、不動産の場合には換金性が低く売却できないような事情がある場合には納税資金の問題が生じます。

 

まぁ、これは極端な例ですが納税資金をどうするのか?ということは是非とも考慮に入れておかないといけません。

 

遺言を作成するのは残された家族が揉めないようにするためという側面があるのに、納税資金のことなどで揉めてしまっては遺言を作成する意味がなくなってしまいます。

 

遺言を作成するにあたって、どの程度の税負担が必要なのか税理士などに相談しておくのが無難でしょう。(一般のかたは、ウチは税金がかかるようなものはないし…とおっしゃるかたもいます。しかし、相続税が課税される財産がどのようなものなのか、どのように課税される金額を決定するのかを理解していないにもかかわらず早計に税金はかからないはずとタカをくくるのは怖いと思うのですが…)