最近チラホラと「家族信託」という言葉を耳にしますが、どういうことなんでしょう?
信託とは…
フツーの人は信託という言葉自体にあまり馴染みがないかと思います。(僕もこの仕事につくまでは詳しくなかったです^^;)
信託とは、「自分の財産を信じて誰かに託すこと」なのですが、財産を拠出する人を「委託者」財産を預かって運用する人を「受託者」運用されたことによって生じた利益などを受ける人を「受益者」とよんでいます。
世の中にある大抵の信託は、信託の受託者が「信託銀行」です。(信託業法という法律で受託者になるためには許可が必要なため)
よくあるパターンは…
委託者が財産を拠出して、信託銀行(受託者)に託す。
信託銀行は運用して、手数料などを差し引いた残りの部分の利益を受益者へ。
というものですね。
信託される財産は預貯金や有価証券などの金融資産だけでなく、不動産などの場合もあります。
家族信託は…
最近はやっている(?)家族信託というのは、信託の受託者が信託銀行でなく、家族などの親族なんですね。
信託銀行に依頼すると、きめ細かなサービスなどを受けられるのですが「手数料」が高いのがネックになります。(ほかに信託財産として拠出するのが一定の金額以上でないとダメとかもあります)
障害者の子供を抱える親御さんなどが信託の利用を考えると、手数料が高いためなかなか利用しづらい。そこで、信頼のできる親族などに受託者を引き受けてもらって信託の利益を障害者の子供に給付するようにして親が死んだあとも子供の生活の基盤を確保する…と言うと分かりやすいでしょうか。
他にも色んなパターンがありますが、受託者が一般の人というのが最大の違いですね。
メリットも多いが、受託者の選択は難しい
家族信託では、通常の相続や遺贈などによる財産の流れなどを超えた財産移転を可能とする・柔軟に信託の仕組みを設計できるなどメリットも多いです。
一方、利用にあたっては注意点もありますが、受託者を誰に引き受けてもらうかというのは悩ましいところです。
一定以上の能力と理解がある信頼できる親族がいれば一番いいのでしょうが、見つからない場合が困ります。弁護士などの信頼できる第三者に依頼できればいいのでしょうが、そうすると報酬や信託業法との問題が生じます。
家族信託自体は局面局面においては有効に作用しますが、導入及び制度設計にあたっては様々な考慮すべき事項があるため、家族信託に詳しい弁護士や司法書士などに相談すべきでしょう。