遺産分割・均等に分けるのはいいこと?

遺産分割や遺言に際して、「均等に」分けたいという意向を聞くことも少なくありません。しかしながら、「均等に」という意味を少し勘違いされているような気もします。

死ぬ前に自分の財産をどのように分けるのかを書類にしたためたものを遺言といいます。

 

基本的には、「自分の財産」をどのように分けるのかは自分の好き(※)にしたらいいのですが、「家族みんな平等に」ってのが最近は多いようです。(昔は、長男が引き継いでいくんだという考え方が一般的だったようですが時代の流れなんでしょうね)

 

※自分の財産をどう分けてもいいはずなのですが、遺留分というものがありまして、血のつながりの近い人は財産を形成するのにある程度貢献していることを考慮して、「最低限度の取り分」が保証されています。その取り分のことを「遺留分(いりゅうぶん)」といい、遺留分を侵害していると裁判沙汰になったりしますので、遺留分を守って分けるのが大切です。

 

「家族みんな平等に」って考え方から、「土地」などの不動産を同じ割合だけ持つ共有などを考える人もいらっしゃいます。「子供が3人いるから土地を「3分の1」ずつねー」というかんじで。

 

ただ、不動産の共有はやめておいた方がいい。

 

別記事でも何度か述べていますが、共有関係は解消が非常に難しいです。

 

さらに代替わりするともう大変。先の例ですと、兄弟同士であれそれほど揉めないかもしれませんが、当事者が亡くなって「3分の1ずつ」の土地が更に相続されると当事者が増えすぎて訳がわからなくなります。

 

そもそも、遺言を記すのはそういった揉め事を回避するためなのですから、遺言の中に揉め事の火種をのこすのは本末転倒だと思いませんか?

 

このような場合には、土地は誰か1人に取得させて、残りの人は他の財産を与える。結果として金額が釣合っていればいいのです。(金額の算定や税金のことも考慮すると税理士に相談したほうがいいのは言うまでもありませんが)

 

「家族みんな平等に」という発想は良いのですが、方法論を間違えてしまうと、かえって揉め事の火種になってしまいます。

 

また、「先祖代々の土地(財産)なので、自分が分け方を決める訳にはいかないから子どもたちで話し合って決めてほしい」というような意向も耳にします。しかしながら、それは問題の先送りにしかなっていません。ご家族の方々が、その土地(財産)をどのように分けるのか押し付けられてもかえって困るでしょう。自分の財産なのだから、しっかりと分け方まで考えてあげるのが「持っているもの」の務めでしょう。