余命が僅かでも相続対策できるのか?

本来相続対策は時間をかけてじっくりと行うべきものですが、条件を満たせば「余命が僅かでも」相続対策を実行できる場合があります。

相続対策は時間をかけるものだが…
「財産をどのように分けるのか?」 「納税資金・納付方法はどうするか?」「どのようにして相続税を低くするか」といった問題は、突き詰めていくと次から次へと課題が噴出します。時間をかけてじっくりと検討すべき問題ばかりです。

したがって、お医者様から突然「余命半年」などと宣告されると限られた時間で有効な相続対策は取れないのではと思われるでしょう。

認知症などで判断能力が失われていると、ほぼ相続対策は取れないのですが、仮に余命が半年など僅かな場合でも「意思能力」がしっかりとしていれば、幾つかの相続対策は取ることが出来ます。つまり、余命が僅かでも相続対策できる条件は「意思能力がしっかりしている」ことです。

(参考)相続対策は死ぬまでではなくボケるまで 

専門家のサポートは必須
余命が僅かな場合、限られた時間の中で「現状の把握」→「対策の立案」→「対策の実行」と進めていかなければならないので時間を無駄にできません。

速やかな相続対策のためには、専門家のサポートは必須といえます。

となると、「余命が僅かな場合」に当事者が一番しなければならないことは信頼できる専門家を探すことでしょう。(意外と相続を専門にしている専門家は少ないので探すのが大変なのです)

具体的な対策
相続対策も薬と同じようなもので、当事者の状況に応じて対策を取る必要があります。そのうえで、用法と用量を守らないと有効に機能しません。(いずれも素人が実行するとかえって税負担が増えたり問題が複雑化するため必ず専門家と相談の上実行しましょう)
以下代表的な短期間でも出来る相続対策です。

①遺言書作成
財産の分割で揉めないよう遺言書を作成します。できるだけ公正証書にしたほうが良いでしょう。公証人が出張してくれるサービスも有ります。

②養子縁組
家族構成によりますが、養子縁組を活用することで相続税の基礎控除などを増やし結果的に相続税が軽減される場合があります。

③保険の活用
余命が僅かな場合に活用できる保険もあります。 納税資金や代償資金、節税などに有効です。

④小規模宅地の要件整備
相続税を大きく軽減する「小規模宅地の特例」にかかわる条件を整備します。親と同居するとか。

⑤生前贈与の活用
相続人でない関係者に財産を贈与します。孫などに贈与することで、相続税の負担を1回飛ばす(代飛ばし)ことになります。

⑥墓地・仏具などの購入
相続税の非課税財産を購入します。

⑦不動産投資
不動産投資により相続財産の評価下げを狙います。

一般的にはこんな感じでしょうか。ただし、くれぐれも自分だけで考えるのでなく専門家に相談しましょう。繰り返しになりますが、短期間でできる相続対策は劇薬のようなもので用法と用量を間違えるとご家族が大変な目に遭います。