前の税理士は何もやってくれなくて…

税理士をやってると必ず一度は耳にする税理士への不満「前の税理士は何もやってくれなくて…」というものがありますが、契約内容がはっきりしていないことによる行き違いというのが現状でしょうか。

税理士への不満「何もやってくれなくて…」

税理士をやってると(あるいは税理士業界に携わっていると)一度は耳にする税理士への不満として「何もやってくれなくて…」というものがあります。私も、税理士変更を検討されている方と面談して、こういったことを聞いたことがあります。

実際のところどうなんだろうと聞いてみると、一番多いのは税理士との契約範囲を明確にしていない場合です。税理士とクライアントは一般的に、「顧問契約」というものを結ぶことが多いです。「困ったときに助けてもらえる=顧問」 といった感じで、契約内容や業務範囲が明確でない場合も多いです。

顧問契約の範囲が明確で無いと、明らかに顧問契約に含まれるであろう業務 (決算、税金の申告書の作成、主に法人税や消費税などにかかる届け出など)でやってくれないという事はないです。問題は、顧問契約に含まれない微妙な業務ですね。

顧問契約の範囲が不明確なので…

最も代表的なのは、「労働保険料」 。6月頃に「緑色の封筒」が送られてきて一年間の給料支払額などを集計して所定の箇所に記入すれば、労働保険料が計算されるというものです。(もちろん、提出して所定の金額を支払わなければいけません)

多くの場合、税理士事務所では給料のデータを持っているので(他の業務で必要となるので、人件費のデータを持っていることがほとんどです)やろうと思えばやれないこともないです。

他の税理士さんに聞いてみても、顧問契約には含まれていないという人が大半のようです。が、頼まれれば断れない場合もあってサービスでやっていることも多いようです。

クライアントからの要望で、提供するサービスを必要最小限にとどめて、顧問料を抑えている場合、こういった業務はクライアント側ですべきなのでしょうが、そのあたりが不明確だと「何もしてくれない」となります。

 

顧問契約に含まれていないかも

「労働保険料」以外に、主に多いのは人件費にまつわる業務が、税理士との顧問契約に含まれているのかいないのか曖昧なことが多いです。
 

「給料計算」→税理士事務所で受ける場合、別料金ということが多いです。その場合には、付随する業務…社会保険関係の届け出などもやることがあります。給料計算を受けていない場合、 給料に係る全般の業務はクライアント側で処理していただきます。特に中途の入社や退社があった場合などは、クライアント側の「経理」が処理をするのが一般的です。

「源泉所得税」→ 従業員などに給料を支払うと所得税を天引きしますが、天引きした所得税を支払うための書類を納付書といいます。納付書の作成は、顧問契約に含まれているのか否かは税理士事務所ごとに取扱が違うことが多いです。ちなみに弊社の場合には、従業員数が3名以下などの少数の場合にはサービスとして弊社で処理をし、従業員数が4名以上になると別料金を頂いて弊社で処理をするか、別料金をいただかない場合にはクライアント側で処理をしていただきます。

これ以外にも、顧問契約の範囲であっても通常の業務を超えるような負荷がかかるものについては別料金としていることが多いようです。そういった場合には、事前に必ずお知らせしますけどね(業界的にも)

あとは、顧問料との兼ね合いもあるようです。クライアント側である程度の処理や作業をするので顧問契約を抑えますという場合には、含まれていないでしょうし、税理士側が何でもします、そのかわり顧問料もある程度高額になりますという場合には、当然のことながら税理士が処理するでしょう。

じゃあ、高い顧問料と安い顧問料の目安はどのくらいなんだといえば、これまた難しい話です。業務の難易度、分量、リスクなどによって高い安いというのは変わってきますので。税理士も最近では、料金表を開示するところが増えていますので、料金表と見比べてみて判断するのも一つの方法でしょうね。

上記で目安を調べてみて、高い顧問料を払っているのに業務範囲が狭かったりするんだったら「何もしてくれない…」という可能性が高く、それなりの顧問料であれば、何もしてくれないのでなく、 業務に入っていないだけということでしょう。