会計ソフトや伝票の「摘要」欄に、何を記載すればよいか迷った経験はありませんか?
摘要は、取引の内容を補足的に説明するための重要な情報です。適切に記載されていないと、第三者が帳簿を確認する際に内容が把握しにくくなり、誤解や手戻りの原因にもなります。
この記事では、摘要欄に何を書くべきか、実務的なルールや記載例、インボイス制度対応での注意点などをわかりやすく解説します。

摘要とは?会計実務での意味と役割
摘要とは辞書などで調べると「要点を抜粋したもの」などという意味だそうですが、辞書で意味を調べたところで会計実務ではあまり意味がありません。
会計実務的としては、勘定科目だけでは取引内容がわかりづらいので、「取引内容を正確に把握するための補足情報のようなもの」と考えればよいでしょう。
摘要がしっかりと記載されているのと、そうでないのとでは、第三者が総勘定元帳などの資料を確認した際に受ける印象が全く異なります。(融資や税務調査に与える影響も大きいです)
摘要欄に書くべき内容とは?
勘定科目だけでは取引内容が全くイメージできない場合は多いです。
たとえば「接待交際費」 という支出があった場合、摘要がないとどのような内容なのか詳細までは分かりません。たしかに「接待交際」に該当するような事実はあったと推測できるにしても、
・飲食に行ったのか?
・贈答品を贈ったのか?
・香典や祝い金を支払ったのか?
ということは分かりませんし、
「どこ」(支払先)に支出したのかも不明です。
書き方のポイントと具体例
BAR〇〇に打合せ目的で行った、という内容であれば…
「BAR◯◯ 飲食代 4名」などのように、飲食交際費であれば支出先・飲食であることを明示し、人数を記載しておけば、取引内容が明確に分かります。(税務的な処理で困ることもありません。)
また、摘要に取引内容の詳細を記載しておくことで、消費税の判断にも役立ちます。
香典などですと、「◯◯さん 香典」とか「◯◯さん 供花」とか。
税理士が会計データを確認する場合や、税務調査の場面では、摘要をもとに取引内容を推定し、経費性の有無や消費税区分などを突き合せます。
インボイス制度の導入により、ますます摘要の重要性は増していますから、取引内容を推測できるように摘要を記載することが必須です。
摘要の書き方で気をつけること
摘要を書くときのルールとしては、「取引先名 取引内容 補足」といった順に記載すると分かりやすいです。
この際に、「取引先名」と 「取引内容」と「補足」の間には「スペース」を入力しておきます。(のちのち検索をかけたりデータを別の資料などに加工する際に便利なようにということと、単純に見やすいようにです)
経理データを入力時に規則性を持って作成しておけば、加工・活用の幅が広がり経理データの価値がワンランク上がります。逆に言えば、摘要のない経理データは付加価値がありません。
取引先名、取引内容はそこまで難しくないと思います。
補足に関しては、さまざまな内容が考えられますが、毎月とか一定のスパンで同じような取引を繰り返している場合…
水道光熱費だと、「大阪市水道局 水道代 4月分」のように、◯月分と入力しておくといつの取引なのか分かりやすく、決算に際して確認する際にも計上漏れを防ぐことが可能です。
摘要の有無で、会計情報の価値が全く変わることがご理解いただけたでしょうか。慣れると難しくはありませんが、規則性があるようでないので、まずは難しく考えずに、最低限「取引先名 取引内容」をしっかりと記載できるように頑張りましょう。
消費税区分としての補足
摘要から、消費税区分を判断するために以下のポイントは気をつけましょう。
①食品関係
軽減税率を適用するものなのか、標準税率なのか適用に入れておくべきでしょう。たとえば、ファストフード店で飲食物を購入していても店内飲食なのか、テイクアウトなのかはわかるようにしておくべきでしょう。
②軽油引取税など
ホテルに宿泊した際の入湯税、ゴルフに行った場合のゴルフ場利用税、軽油を購入した際の軽油引取税などは消費税区分に要注意のため、これらの金額を適用に入れておくべきでしょう。
③海外取引
海外が絡む取引は消費税が課税されていたり、されていなかったり。海外取引だとわかるように明示しておくと、間違いが減りますし、税理士への受け渡しもスムーズです。