会社を作るときにまず決めることは、名前や事業内容、役員、事業年度とともに資本金を決めます。ただ、資本金に関しては勘違いも多いようで。
資本金は返ってこない
資本金は、会社を作る際の元手として支出したものですが…
よくある勘違いとして、資本金は返ってきません。
個人事業でやってきた方は、そのあたりの区分があやふやなので勘違いが起こってしまうようです。
個人事業の場合は、プライベートのお金と事業にかかるお金を分けるというのが大事なのですが、会社でも会社のお金(=事業にかかるもの)と、プライベートをきっちり分けないといけません。
資本金は、会社の元手として支出したわけなので、返ってきません。代わりに、株主になります。
資本金という「お金」があるわけではない
資本金という「お金」が金庫に眠っているみたいな勘違いもよく見られます。
資本金というのは、会社を作るにあたっての元手ですから、会社が作られたあと事業を始めるとそれを使って商売するわけです。
仕入れのお金に消えたり、固定資産になったり、給料を払って消えたり…
ですから、もともとのもとでがいくらだったというのが「資本金」なわけで、資本金というお金が金庫にあるとすれば、それは会社を作ったその瞬間だけということです。
資本金は変えられない
資本金は増やしたり減らしたりも可能です。(ちょっとした手続きは必要ですが)
資本金は会社を作る際の元手なのですが、元手は多ければ多いほど「体力のある」会社とも言えます。
資本金が10万円の会社と、資本金が1,000万円の会社で考えれば、後者のほうが潰れにくそう(=体力がある)と考えられるからです。
ただ、会社の体力を最初のお金だけで確定させてしまうと、虚弱体質で弱い会社はずっと病弱なままですから、それでは健全な経済活動ができませんので、体力を増やすことも可能です。
資本金を増やすことを「増資」、逆に減らすことを「減資」といい一定の手続きを踏めば増資や減資が可能となります。
資本金の多い少ないで税金が変わることも
資本金は会社の体力のようなものとすると、日本の税制では体力のある会社とない会社で税金に優遇を設けています。
体力のある会社は少し税負担を多めに、体力のない会社は少し税負担を少なめに…という考え方です。
ですので、資本金が多ければ多いほどいいというものでもなく税金との関係で資本金を決めたほうがいいということです。
資本金は、「1,000万円」「3,000万円」「1億円」という区切りごとに税金の負担が大きく変わります。ですので、多くの起業家の人達はまずは会社を作る際には資本金を「1,000万円」未満に設定することが一般的です。
少なすぎると問題も
資本金が少なすぎると問題が生じます。
資本金が少なすぎると、会社の経営で赤字が続いて当初の資本金を食いつぶしてしまうことがあります。
厳密にはもっと難しいのですが、資本金を食いつぶしている(実際には会社にお金がないと潰れてしまうので、オーナー社長が身銭を切って会社にお金を入れたりしています)状態を「債務超過」といいます。
債務超過だと、会社を運営していく上で色々と不利なことが起こります。
銀行がお金を貸してくれなかったり、取引先から取引を断られたり、取引ができても常に現金決済にされたり…
ですので、会社を運営するのに困らない程度の資本金は用意しなければなりません。(業種などによって運営するのに必要なお金は違うので、一般的に300万とかという数字だけを鵜呑みにしないこと)
他の人にも出してもらおう
資本金が少なすぎると問題なので、多くするために友人知人などにも資本金を出してもらって共同オーナーみたいになろうという考え方もあります。
資本金をいくらにして、だれからお金を出してもらうのかという会社の設計上の考え方を「資本政策」といいますが、
資本政策に失敗するとあとあととても大変です。
会社にお金(資本金)を出すと返ってこない代わりに、お金を出した人間は「株主」になります。株主いいかればオーナーですね。
会社は株主のものなので、株主の思い通りに動かせます。(もちろん法律の範囲内ですが)
株主が何人もいる場合、意見が割れたりすると会社が思い通りに動きません。
友人知人にお金だけ出させて、口出しするなってのはちょっと虫が良すぎます。大抵はもめて友情にもヒビが入りろくなことになりません。
資本金は自分で作る。というように考えたほうがあとあと困りません。
業種によっては最低限の資本金がある
建設業とか、一定の業種は資本金に最低限度が設けられています。
国からすれば「この商売するには、最低限の体力をつけとけ」ということでしょう。
これから開業しようと、あるいは法人成りしようと思っている人は、それも踏まえて資本金を調達しないといけませんね。