「相続が起こると、まず何をすべきですか?」とよく聞かれますが、税金がかかるのかそうでないかによって対策は変わります。ですので、答えとしては「税金がかかるのかどうか確かめておく」でしょう。
相続税には「期限」があるから
相続税は、相続によって財産を取得した人に対して課される税金です。
しかしながら、誰でもが収める必要があるかというとそうでもありません。
すべての相続のうち5〜7%程度が相続税を支払う必要がある、と言われています。
逆に言えば、約9割のケースでは相続税を支払う必要はないのです。(税金は発生しなくても申告手続きが必要なケースはあります)
相続税を支払う場合、決められた期限までに税金を支払わなくてはなりません。
それ以外の手続きは、そこまで期限が厳しくないので、相続税を支払う必要があるのかないのかを検討します。
期限までにすべきこと
相続税の申告は、原則として相続開始から10ヶ月以内に行わなければならず、相続税の計算は簡単にできるものでなく、その間に様々なことを調べたり、資料を集めたりしなければなりません。
・相続人を確定させる
亡くなった人と血の繋がりがある一定の人が遺産を引き継ぐことを「相続」といいますが、相続できる人は法律で決まっています。
相続できる人、相続人といいますが、これを確定させるために、亡くなった人の生まれてから死ぬまでの戸籍を辿ります。
・財産を調べ上げる
相続税は、死んだ人が死んだ時点で持っていた財産に対して課されます。
ですから、死んだ人が持っていた財産を調べ上げる必要があるのです。
長い間生きていると、本人も忘れているようなモノが出てくることもあります。
・誰がどの財産を取得するのか話し合う
死んだ人の財産、すなわち遺産を把握できたら、誰がどれを取得するのか話し合います。
いわゆる、遺産分割協議と言われる手続きです。
遺産分割協議は、分割協議書という書類に記すことになっており、これをもとに名義変更などを行います。
(亡くなった人が遺言を残している場合には、分割協議がない場合もあります。)
・税金を支払う準備をする
相続税の計算方式は難しく、税理士でないと正確な金額は算定できません。
かいつまんで説明すると、死んだ人の遺産全体に対応する税額を計算して、この税額をそれぞれ財産を取得した人たちが、取得した財産の比率で税を負担します。
つまり、日本の相続税は以上に述べてきた行程をすべてこなした後でないと、確定しないのです。
財産を貰える権利のある人を確定させ、遺産をすべて把握し、誰がどれを取得するのか決めた上で、これらに基づいて計算された税金を期限までに支払う…
文字にしただけでも、手間がかかりそうですが、最大のネックは期限があるということでしょう。
期限をすぎると…
あまり考えたくないことですが、期限をすぎるとどうなるのでしょうか。
・相続税を有利に計算できなくなる
当然といえば当然ですが、税金は期限までに申告をして支払った人と、期限を過ぎた人に差を設けています。
税金の計算方法の中には、税金を減らすことが出来る特典があります。
この特典は、自発的に期限までに申告しないと使えないものが多く、期限を過ぎてしまうとダメなのです。
要するに、期限をすぎると期限までに申告した人に比べて税金が増えてしまうことがあるということです。
まさに後の祭りです。
・罰金がかかる
期限をすぎることは、悪いことです。
ですので、お仕置きとして罰金が発生します。
罰金は、ケースバイケースなので、どのくらいと言いにくいのですが…
罰金がかかるのも辛いですし、罰金がどのくらいなんだろうと心配して過ごすのもある意味でバツとして辛いです。
税金がかかるか確かめるには
税金がかかるかどうか確かめるには、税理士に試算をお願いするのが無難でしょう。
先に述べたように、相続税の計算は複雑なため、税理士でないと正確な算定が出来ません。
正確な状況を把握した上で、どのような対策を取るべきなのか考えればよいでしょう。