消費税を払うお金がない…は「使い込みました」と同義

消費税はその仕組みから、払うお金がないということは基本的にあり得ないので、払うお金がないということは「使い込みました」という自白と同じことです。

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消費税は差額を払う

消費税はお客にものを売ったときに「預かった消費税」と、自社が経費などを支払ったときに「仮払った消費税」の差額を納めるしくみです。

「仮払った消費税」の算定方法についてはいくつかの方法がありますが、大きな仕組みとしては「預かり」と「仮払い」した消費税の差額を納めるだけという本質は変わりません。

また、「預かり」と「仮払い」した消費税の大小が逆転したとき、は支払うのではなく消費税が返ってくる(還付される)ことになります。

ですから、消費税を支払わなければならない場合において、納税のためのお金が手元にないということは厳しくいえば「使い込んだ」ということです。

悪気はなくとも

お金には色がないとはよくいわれることですが、手元にあるお金が使ってもいいお金なのか、消費税を払うためのお金なのかがわからなくなることがあります。

多くは、経理がいい加減だとかに起因するのですが、脱税しようと思ってそうなったわけではなく、単に使っていいかどうか分からないまま、手持ちのお金を使っていったら(使わざるを得なかった)、消費税の納税資金も溶かしていた…ということでしょう。

よくあることではあるのですが、だからといって納税がなくなるわけでもありません。

人によっては借金してまで、消費税を払わなければならない羽目になることもあります。

節税がきかない

消費税は、「預かり」と「仮払い」した消費税の差額を納めるというしくみのため、節税がほとんど「効かない」です。

利益に対してかかる税金である、法人税であれば、利益をある程度は企業の裁量でコントロールすることができるので、税を減らす(節税する)ことができるのですが、消費税は「仮払った」消費税を増やそうにも限度があるため、節税しにくいのです。

仮払い消費税を増やすために、支払いを増やそうと考えても、消費税が「かかる」取引と「かからない」取引があるため、たとえば給料などは消費税がかからない取引のため、人件費を多くしたとしても消費税的には有効ではないわけです。

しかも、法人税は赤字決算(利益が出ていない)であれば支払う必要はありませんが、消費税は利益に連動するわけではないので、赤字であっても(たとえば支出の大半が人件費のような場合は)消費税を納める必要があることも考えられます。

使い込みましたとは言えないので

「お客さんから預かった消費税を使い込んでしまったので払えません」とはいえないので、日頃から消費税の納税資金を意識して貯めておく以外に方法はありません。塀の向こう側に行きたいのであれば別ですが。

支払期限の間際に、お金をかき集めるのはとても大変です。

消費税はその性格上、金額が大きくなりやすいですので。まさにチリも積もれば…です。

まずは、日頃から消費税を意識して貯めておくことがもっとも大事ですが、そのためには税理士などと協力して消費税がどのくらいなのか、資金繰りも含めて定期的にチェックしておくことが大事です。

なぜなら、「お金に色はない」からです。手元にあるお金と消費税の納税資金の区別がつかないわけです。

あと、節税があまり効かない消費税ですが、やり方次第では若干は減らすことは可能です。設備投資を計画的に行ったり、簡易課税などの税制上の仕組みを活用したりです。ただ、税理士としても「使い込みました」といっている納税者には手を貸せないので、きちんとした見識を持って協力体制および信頼関係を築くのが必須でしょう。