経理データを作成するときに、細かく勘定科目を設定したり、補助科目や部門などを設定したりするのは有効なこともありますが、何事もやり過ぎは禁物です。
経理データは外観性重視
外観性とは、ぱっと見がわかりやすいということですが、(勘定)科目を細かく設定し過ぎてデータがわかりにくいというのは本末転倒でしょう。(実際、中途半端に簿記を齧っている経理担当だとありがちです)
科目の数は一般的な中小・中堅企業では30程度が理想的と言われているので、あまりにも多いようだと改廃しなければなりません。
大雑把過ぎても、細か過ぎてもダメなのが経理データです。
発生主義を徹底するのも?
会計の基本的な考え方は、発生主義です。請求された&した(発生した)時点で売上や費用を計上します。(発生主義の考え方そのものを身につけることは重要なのです。)
しかしながら、中小・中堅企業の経理においては、請求ベースで売上や費用を計上すると手間が煩雑なことや、仕訳が増えてしまって分かりにくくなることから、期中は入出金ベースで売上や費用を計上し、期末だけ発生主義に修正するという経理方式が採用されます。
発生主義を徹底し過ぎて、経過勘定項目(未払費用などの発生とお金がずれる項目)が多すぎて消し込み(突き合わせのこと)に手間がかかりすぎるというデータをたまに目にしますが、手段と目的があべこべになっている典型例でしょう。
また、多くの経営者が入出金ベースで売上や費用を考える傾向にあるので、厳密に発生主義を徹底しても、経営者の考えとズレが生じるという問題もあります。
補助科目や部門で細かく管理
会計ソフトで、補助科目や部門を細かく設定すると、さまざまな数値を管理することが可能です。
ただし、これも限度があって、よく見かける失敗事例は売掛金を全て補助科目で管理して細かくなり過ぎて結局わからなくなってしまう、というものです。
会計ソフトは、あくまで決算書や試算表を作るためのものであり、それ以外は「補助的」なものでしかないのです。(中小中堅企業では、その企業の実態に完全に合わせたシステムを構築すると費用負担が大きくなりすぎるため、既存のあるいは市販のシステムを使わざるを得ません。そういった理由から、ある程度の割り切りをすべきなのですが…)
補助科目や部門にこだわり過ぎて、データが重いとか、仕訳日記帳や総勘定元帳が確認しづらいというのは、これも本末転倒です。
拘るのであれば、データの入力の仕方。ルールをしっかりと決めておけば、excelなどで集計はできますので。