社会保険料、源泉所得税が資金繰りを見えづらくする…仕組みと対応

会社のお金の流れを見るときに、若干ややこしいのが社会保険料と源泉所得税です。

社会保険料

社会保険料は、従業員と会社が折半して負担します。給料を支払うときに天引きして、翌月末に会社負担分(基本的に折半なのですが会社「だけ」が負担する部分があるので若干会社負担分が多い。そのため従業員負担分を倍しても支払額とは一致しません。)と合わせて支払います。
ポイントは、約半分を給料から「天引き」しておいて、翌月末に残りの約半分である会社負担分と「合わせて」支払う。

支払額の約半分は、給料から天引きされるものなのですでに給料として経費になっています(会計上は「給料」に含まれている。預かった部分は「預り金」)し、残りの約半分は「法定福利費」という名前の経費です。

資金的には金額が捕まえづらいことと、支払いのタイミングが給料支払いの翌月末なので、支払いのタイミングが独特で分かりづらい。

ただ、金額は大きいので無視もできません。資金繰りを考える上で、初心者は捕まえづらいので注意が必要です。

源泉所得税

従業員の給料から天引きし、翌月10日までに支払います。

ただし、従業員数が一定数以下だと半年分をまとめて支払う特例(いわゆる「納期の特例」と呼ばれるもの)があります。

給料から天引きして、会社が預かって、あとで払っているだけなので、会社としては損も得もしていません。(社会保険料の従業員負担部分も同じで、損も得もしません)
給料の従業員への支払額が減った(額面ではなく手取り額となった)分だけ、あとで別払いしているだけ。

ただ、資金繰り的にはあとで払うので、給料と支払いのタイミングが違うわけですから、初心者は分かりづらい。納期の特例で半年分をまとめて払っているときは、特にです。

そもそも、預かったものを払うだけで、損も得もしていないわけだから、何の問題もなさそうなのですが、後からそれなりの金額を払うので、なんか「損した」気分になったり、資金繰りで見落としたりしがちです。

なので、どのくらい「預かっているのか」を常に意識する必要があります。

通帳を分ければ理解しやすい

給料を支払う際に天引きをする金額を同じ口座で管理するから分かりづらいので、天引きした金額は別口座に入金してみては?

そこから、源泉所得税(住民税も特別徴収であれば同様)、社会保険料などを支払う。
そうすれば、損も得もしていないということがわかりますし、間違えて使い込んでしまうということもありません。

本来、預金口座をいくつか作るといのは、そういった役目を分けるためなんでしょうけど、うまく機能させているところはあまり見かけません。めんどくささが先に立ってしまうんでしょうが、「見える化」することはそれなり有効です。

資金繰りに不安を抱えている会社は、実践しましょう。