建物と建物附属設備の違い、ご存じですか?
語感や漢字からなんとなく分かった気になりがちですが、会計処理や税務対応においては明確な区分が求められる重要な論点です。特に固定資産の分類や減価償却の計算、修繕費か資本的支出かの判定にも影響するため、判断を誤ると税務上のリスクにもなりかねません。
本記事では、建物と建物附属設備の基本的な違いから、実務上の判断ポイント、よくある勘違いまでをやさしく解説します。経理担当者や中小企業の経営者の方にとって、最低限押さえておきたい基礎知識として整理しました。

建物
建物の定義は難しく、一般的には「不動産登記法」にある定義で考えることが多いようです。会計の場合は、登記ほど厳密には考えていないのでしょうが、ある程度のイメージを持っておくことは大切でしょう。
建物は以下の3要件を満たすものと考えられています。
①定着性
土地に「定着」していなければならいということです。
一般的な建物を建設している過程を考えると、しっかりとした基礎の上に建っています。つまり「定着」している。
物置やプレハブ小屋のように置いてるだけのものではないということでしょう。
②外気分断性
ここでいう「外気」は風雨等のことで、簡単に言えば雨露をしのげるものが建物。
雨露を凌ぐためには屋根や壁で囲われていないと(外気から分断されていないと)いけません。
一般的な感覚からしても、屋根や壁がなければ建物とは考えないでしょう。
(ガソリンスタンドの設備なんかは、雨に濡れてしまうから構築物ということになります。)
③人貨滞留性
人や貨(お金)を貯めおくことが出来る、つまり解釈をわかりやすく広げれば、生活したり仕事をしたりできるということです。
地面に定着して、屋根や壁が有るものでも、生活したり仕事したりできるようなものでもないとダメってことです。
まとめると「建物」は
・土地に定着していて
・屋根や壁で雨露を遮断し
・生活したり仕事したりできる
※登記などはもっと細かい事例があります。あくまで、会計的に知っておけばいいレベルのはなしですので。
建物付属設備
建物付属設備は、以下のようなものです。
建物附属設備に該当する代表例
・電気設備
・給排水設備
・ガス設備
・空調設備
・昇降機設備
・消化排煙設備
建物と「一体」となって建物の効用を高める設備といわれています。
一体となっているとは、取り壊さないと外せないという理解が易しいでしょう。
先ほどのれいでは、空調設備なども壁や天井に取り壊さないと外せないようにくっ付けてしまいますから、建物と区別しづらいですが、建物そのものではなく、その効用を高める設備として区別します。
ちなみに構築物は
建物以外の建造物です。
そして、建物付属設備とは付属しているかが違います。
構築物の具体例
門、塀
プール
橋梁
野球場のスタンド
色々ありますが、建物の定義を満たしていないはずです。
ちなみに、実務では「アスファルト敷き」を構築物と扱います。
修繕なのか資本的支出なのか
アパート業などをしていると、店子(賃借人)の退去に伴って工事を行うことがよくあります。
この工事を、どのように会計処理するのかはケースバイケースで、前提条件によっても異なりますので、必ず税理士と相談すべき事項です。
価値を回復→修繕費、価値を高める→資本的支出
一般的には、元の価値を回復させるような支出であれば「修繕費」として全額そのときの費用となり、元よりも価値を高めるものであるときは「資本的支出」として資産計上します。
言い換えれば、価値を回復させるのはメンテナンスとして定期的に行われるべきものだから全額費用だけれど、価値を増やすというのは建物などを部分的に新規取得したということです。
実務的にはリスクの高い論点ですので、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
リフォーム工事
アパート業で、店子(賃借人)の退去に伴ってリフォーム工事を行うということはよくあります。
築年数が経ってくると、そうでもしないと新たな店子が入りづらいからでしょう。
リフォームの場合、価値を高めると考えられますから資本的支出として資産計上するわけですが、科目が問題になります。
考え方は色々とありますので、一例として参考になればいいのですが、
断熱工事や間仕切りを入れて間取りを変えるなどは「建物」
トイレやバス、キッチンなどを刷新すれば「建物付属設備」
ということです。
実際には、まとめて工事しちゃうので判断が難しいですから、税理士に相談するほかないのですけどね。