出店商法にハマらない

飲食店などは新規出店をすると、新規出店効果があってしばらくは売上が上がります。その後、的確な施策が打てないと下がっていきますが。
飲食店チェーンなどは、困ったら新規出店して…というやり方をするところがありますが、その是非はどうなのでしょうか。

新規出店効果

飲食店などは、新規出店すると当面売上が上がります。新規出店の物珍しさなどで、お客が試しに来てくれるのでしょう。
その後の売上が定着するかは、さまざまな要素で変わりますが、新規出店時には一定の効果はあるようです。

本来は、お店にお客が定着するようにさまざまな施策を打つのが正しいあり方なのでしょうが、なかなか難しいので、行き詰まるとリニューアル若しくは新規出店をするやり方の会社があります。
勝手に「出店商法」と名付けましたが、あまり褒められたやり方ではないと思います。

出店にはコストがかかる

お店を出そうと思うと、さまざまなコストがかかります。
物件の取得費(前家賃、敷金、礼金、仲介料)、物件の工事費、看板などの設置費、その他の設備費、細々とした備品、オープン時の仕入、スタッフ採用の費用。
自己資金で賄えれば良いですが、そんな潤沢な資金はないので借入で賄うと、返済も考えなければなりません。
初期コストを何年で回収するのかしっかり考えておかないと、借金が増えるだけです。

中古設備のワナ

初期コストが少ないため、店内の設備や備品などを中古品で間に合わせることがあります。
ただ、営業に致命傷を与えるような大事な設備は新品で揃えるべきです。
パン屋でオーブンが壊れたら、ラーメン屋で茹で麺機が壊れたら、冷蔵庫が壊れたら…その日は商売にならないし、修繕費もバカになりません。
結果、最初から良いものを買っておけばよかったとなりますが、後の祭りです。
資金計画は後手を踏むと、なかなか挽回できません。設備関係は、大きなコストですから、後手を踏むと、半永久的に後手を踏み続けます。
そして手がなくなると、潰れ(倒産し)ます。

借金は返した分しか減らないが

出店商法が難しいのは、初期コストが自己資金で調達できない時に、借金で賄うという点にもあります。
借金は返した分しか減りませんが、お店の設備などあるいは「お店そのもの」の陳腐化はもっと早い場合があります。
陳腐化とは、会計的に価値がなくなることですが、店の価値はなくなってるに等しいのに借金だけが残る、となると次の手を打つのがますます難しくなるという負のスパイラルに嵌っています。
借金して出店というのは、「お店に投下したコストの回収」と「借金の返済」のいずれが早いかのチキンレースのようなものですから、そんな危険な賭けにはのらない方がいいに決まってます。

出店商法から抜け出す

出店商法から抜け出すのは並大抵ではありませんが、方法は簡単です。
出店を控え、体制を整えること。
人はかつての成功体験に思考が支配されると、何も考えずにかつての成功体験を追いかけます。
既存店の営業に行き詰まりを覚えると、新規出店したくなるのです。(既存店が好調ならば新規出店は問題ないこともあります)
そこを堪えて、現状の課題をクリアしていかないと、結局のところ出店商法は問題の先送りですから、先程のチキンレースに負けるまで続けてしまい、最後には崖の向こうに落ちてしまいます。