資金繰りを悪化させる社長の行動6選|小規模経営で避けたい習慣

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資金繰りは、中小企業の社長にとって最も大切な経営課題です。
しかし、テクニック以前に「普段の習慣」が資金繰りを悪化させているケースは少なくありません。


ダイエットで毎日運動しても、食事がジャンクフードばかりでは成果が出ないのと同じです。
本記事では、小さな会社の社長がついやってしまいがちな“資金繰りを壊す6つの習慣”を紹介し、改善のヒントをお伝えします。

資金繰りを悪化させる社長の6つの習慣

資金の出入りを把握せず、まとめて現金を引き出す

現場関係の仕事でよく見かけますが、外注さんへの支払(現金払い)をするのに、ぴったりした金額でなく、ざっくりと預金口座から引き出す。

そもそも、支払は「事実を残すために」振込ですべきですが、業界によっては現金払いはまだまだ残っています。

仮に、支払うべき外注費が627,000円だったとして、その金額を口座から引き出せば良いものを、他の支払分も合わせて引き出すという名目で700,000円を引き出す。

ズレのお金の使い途をキチンと記録しているならまだマシですが、記録していないことがほとんどで、結果として使途不明金となります。

経費にはならないけど、お金はないという状態になります。融資や税務調査でも厳しく咎められます。

身内や従業員に“情”で多めの給与を出す

社長に見栄は大事ですが、ない袖は触れないことを認識するのも必要です。

身内や従業員に多めの給料を出す、ということがまかり通ると、利益構造が潰れますから、事業資金が立ち行かなくなります。

身内や従業員にも、相場として適切な金額を渡すことが重要であり、

相場よりも高額な金額を出すならば、その人が会社にもたらす売上や利益に見合っているかを常に考えなければなりません。

身内や従業員は、一時的に高い給料をもらうより、安定的に給料を受け取りたいのです。

能力や貢献に見合わない給料の支払は、それが当然になると、感謝もされず、ガバナンスを崩壊させかねません。

経費と私費が混在したレシートを使う

領収書(レシート)のなかに、経費と私的な支出が混同しているものが出てくると、危ない予兆です。

例えば、コンビニで文具を購入したのに、タバコも合わせて買っている。常識的に、ほとんどの事業ではタバコが経費になるわけもありません。金額の多寡でなく、公私混同が常態化していることが問題です。

私的な支出は、経費とならないにもかかわらずお金は減ってしまいます。そのうえで、帳簿には役員貸付金という科目で残ります。

いつまでも消えない傷が、ずっと残ってしまい、資金繰りもジワジワと痛めますから、私的な支出を混ぜないことを徹底すべきです。

現金主義にこだわり、口座振替や引落しを避ける

自動引落を避け現金払いにこだわる社長が一定数います。手元のキャッシュ(現金や預金残高)が一目でわかるから、把握がしやすく安心感につながります。

しかし、多忙ゆえに支払漏れが避け難く、その結果として支払サイトがズレてしまい、資金管理が不能になるケースが多くなりがちです。

支払漏れは、取引先からの信用を即座に損なう行為です。

長い目で見て、資金繰り的にも信用面でも、自動引落などを活用したうえで、通帳で資金の有高を確認するように改めるべきでしょう。

カード払いを乱発し、来月の引落しに無頓着

会社の経費をクレジット払いするのは、手続き面でシンプルであり、明細で支出も把握できるので便利ではあります。

しかし、カード払いは支払いを繰り延べるだけで、支払いが減るものではありません。

常にカード払いの支払額がどの程度なのか意識しないと、翌月以降の支払いに影響を及ぼします。

カード払いを遅延すると、与信(融資などにおける信用スコア)にも大きな傷となりますので、使わないほうが無難でしょう。

無目的な節税で「利益と一緒にキャッシュも削る」

節税の大半は支出を伴いますから、考えなしに節税するとお金は減ります。

節税しても、手元のキャッシュがなくなると、会社の財務安定性(潰れにくさ)は損なわれるので、無目的な節税よりも、「あえて税を払ってでも」会社にキャッシュを残すことも選択肢として持つべきでしょう。

節税一辺倒の会社で、長く続いているところを見たことがありません。

資金繰り改善は「習慣の見直し」から始まる

資金繰りの破綻は、テクニックよりも普段の何気ない、けれど定着してしまうと、なかなか変えられない習慣・行動に原因があることがほとんどです。

どれも突き詰めれば「使えるお金を会社に残す」ということに他なりません。

とはいえ、具体的な行動をイメージしづらいと実行しづらいものです。

まずは、具体的な行動イメージを持ち、普段の行動に落とし込んでいくと良いでしょう。