変わる税理士業界・若い人は有利かも

経験が重要視される税理士業界にあって、若い人は不利だと言われていました。しかしながら、そうとばかりも言えないのではないでしょうか。

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税理士業界は超高齢社会

日本社会全体が高齢化しています(少子化は問題ですが、高齢化は成熟した社会では当然起こるべき減少とも思います)が、税理士業界は特に顕著で平均年齢が60歳強(ちょっと古い平成16年の第5回税理士実態調査のデータですが)。

具体的に見てみると…

 20代  1.1%
 30代  10.4%
 40代  15.6%
 50代  19.3%
 60代  18.4%
 70代  29.1%
 80代  5.4%

税理士には、税理士試験を受かった人以外に、税務署で一定期間勤めたことを認められて税理士になった人がいます。(いわゆる国税OB)

国税OBは当然ながら税理士になった時点で年齢がいっているので(国税OBが多数派なのもあるでしょう)、税理士の平均年齢は上がります。

企業の経理担当者も高齢化

税理士の顧客となる中小・中堅企業においても同様の問題が生じており、経理担当者の高齢化が進んでいます。

税理士の勉強をしていた人(税理士試験に合格しなかった)が、その経験などを請われて、企業の経理担当者となることは、しばしばあります。

若い人は、税理士を目指して勉強をし、税理士として活動をするもよし、経理担当者として企業などに勤めるという進路もあります。

日本では、人口が徐々に減少しつつありますが、それに比して企業の廃業等は多くはありません。慢性的に、経理担当者が不足しているのが現状です。

AIに代わらない

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近年、事務職の多くはAIに取って代わられるという風潮がありますが税理士業に関してはそうではないと思います。

取引を単にデータ入力するような仕事は減ったり無くなったりするでしょうが、税理士業務の本質はそこだけではないのです。

税理士業務の本質はクライアントの意向を税務申告に表現すること。税金の申告書には結果をまとめればよいという考えもあれば、今後の方針や展開を見据えて作成するという考えもあります。

前者の考え方のように数字をまとめるだけならば、税務申告アプリ的なもの(まだ税務申告のAIはないので)でも対応可能でしょうが、後者の考え方ならば、会社の状況(今後の展開も踏まえて)、経営者の性格など数字だけでは表せない要素も考慮する必要があるため、「人間」でないと難しいでしょう。

年齢差が開きすぎるとキツい

そういったわけで、税理士と経営者・経理担当者はコミュニケーションをしっかりと取る必要が有るのですが、神田昌典さんの著書によると、コンサルタントとクライアントの年齢差の許容範囲は15歳程度だそうです。

日常的に相談を持ち掛ける人の年齢はなるべく近い方が気安く、コミュニケーションも取りやすいというのは大きなことでしょう。

起業した人は、同世代の人間を税理士として契約することが多いようです。若手の経営者と高齢化した税理士にはミスマッチが多いようです。

高齢の税理士は、「経験」が大きな売りになる反面、インターネットの活用、コンサルティング業務、マーケティングといった分野への取り組みには消極的なようです。(もちろん、年配の先生でも積極的にこれらの分野に取り組んでいる先生もいらっしゃいます)

税理士の年齢構成から考えても、若い税理士(40代くらいまで)の需要はますます高まっているのではないでしょうか。

ITをうまく使いこなす

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税理士業は、税金の申告書などを作るために一定の「作業」が必要になります。

ひと昔まえの税理士業であれば、領収書や請求書を伝票にまとめ集計し申告書を作成。さらに清書する。といった感じです。

スマホのスキャナーアプリを活用したりインターネットの活用などで資料のやり取り・整理等にかかる手間ひまや、経営者との意思疎通も負担が減ってきました。

税理士業について回る「作業」的な部分を、ITなどをうまく使いこなせれば軽減できるので、言い換えれば、ITをそれなりに使いこなすのが税理士業の鍵となります。

若い人ほどITになじみやすい

税理士業界におけるIT化は千差万別であるのが実態です。

1人に1台のパソコンが無い事務所(驚)もあれば、デュアルディスプレイ(ディスプレイを複数台設置すること。例えば会計ソフトの入力画面と、元のデータ等を並べて表示することにより飛躍的に業務効率が上がる)は当たり前という事務所まで様々です。

もっと原始的な話では、パソコンを使っていない。(使っていたとしても形だけ。)電子メールもなく、FAXなどでのやりとり。

最低限のIT環境は整えておかないと、業務効率が上がらなくて税理士自身が苦労するだけだったら良いのですが、クライアントとメールでのやり取りも出来ないとなると、迷惑がかかってしまいます。

税理士に対する不満はいくつか挙げられますが、「新技術に対応しない」といったものもあります。新技術といっても、世間的には一般的な話で、税理士業界ではまだまだ立ち後れているパソコン・ネット関係のことでしょう。

お客さんに直接大きなメリットがあるものではありませんが、時間の短縮になったりと効率的に時間を使えますので、その分クオリティが上がる等の間接的なメリットはあります。

お客さんによっての向き不向きもありますので、全員が新技術の対応を望んでいるかと言えばそうでないかもしれませんが、世の中の流れとしては必要でしょう。そういった意味では若い人は吸収も早いので有効です。