教育費や老後資金を補うための株式投資では、短期間で大きく勝つことより、長期的に配当を受け取りながら、全体として負けにくくすることが重要です。
そのためには、投資信託に任せるだけでなく、大型の高配当株を自分で選び、銘柄と購入時期を分散しながら買っていく方法もあります。
個別株投資で最も難しく、同時に最も面白いのが銘柄選びです。ただし、銘柄選びや四季報の読み方に、すべての人に共通する正解があるわけではありません。実際に企業を比較し、保有後も業績や株価を追う中で、自分なりの企業の見方を身につけていくものです。
本記事では、将来値上がりする銘柄を当てる方法ではなく、銘柄を見る力が身につくまでの間に、致命的な失敗を避けるための大枠を紹介します。

この記事は共働き夫婦の資産形成をテーマにしたシリーズの一部です。
全体像をおさえてから読み進めたい方はこちらの記事を先にどうぞ
なぜ銘柄選びが一番大事なのか
長期保有で配当を積み上げる投資では、短期的な値上がりを正確に当てる必要はありません。むしろ大切なのは、長く持っていても崩れにくい企業を選ぶことです。
ただし、会社を単純に「良い銘柄」「悪い銘柄」と分類することはできません。同じ会社でも、業績や事業環境、株価によって、買いたい銘柄になる時期もあれば、今は買わずに待った方がよい時期もあります。
また、四季報や財務諸表の読み方にも、唯一の正解はありません。さまざまな企業の業績や財務状態を眺め、気になる数値があればその理由を調べる。この繰り返しによって、少しずつ企業を見る感覚が身につきます。
この記事で前提にしているのは、教育費や老後資金の一部を補うための堅実な投資です。そのため、値動きの大きい銘柄を狙うのではなく、大型株・高配当・財務の安定性という大枠から候補を絞り、銘柄を分散して長く保有します。
すべての銘柄を当てる必要はありません。致命的な失敗を避けながら複数の銘柄を長く保有すれば、配当の積み上げや一部銘柄の値上がりによって、全体として利益を残しやすくなります。
だからこそ、この投資では、「いつ買うか」以上に「何を買うか」が重要です。
失敗しにくい銘柄選びの3つのポイント
「どの株を買うか」つまり銘柄選定は、目的によって異なります。
長期投資の配当収入目的である投資の場合、「短期間で値上がりする銘柄を探す」のではなく、長期的に安定した収益を得られる企業を選ぶことが大切です。
① 大型株を選ぶ(倒産リスクを回避)
・安定した企業は、株価の変動が緩やか
・長期保有に向いている
長期投資で大事なのは「安定性」です。
株式は債券と違って元本保証がありませんから、企業が倒産するとその株式は紙クズになります。(いまは株券を発行してないですが)
ですから、なるべく倒産リスクの低い会社がよいのですが、なるべく簡易に倒産リスクを下げるなら、「聞いたこともない企業」の株を買うのは避けましょう。
新興企業は大きく伸びる可能性もありますが、財務が不安定でリスクも高いです。
おすすめは、以下のような企業。
・日経225やTOPIXの構成銘柄に含まれる企業
・生活必需品・インフラ・金融など、景気変動の影響を受けにくい業種
例:食品メーカー、電力会社、通信、メガバンクなど
業種を考えるのが難しければ、まずは「大型株」で検索するとよいでしょう。時価総額の大きい企業は、一般的に事業規模が大きく、情報開示も充実しているため、企業の状態を確認しやすいというメリットがあります。
大型株であっても株価の下落や減配はありますが、知名度の低い小型株や新興企業から無理に成長株を探すより、長期保有の途中で致命的な問題が生じる可能性は抑えやすくなります。
大型株であることは安全性を保証するものではなく、初心者が投資候補を絞るための最初の条件と考えましょう。
② 高配当銘柄を重視(インカムゲインを得る)
・配当金を受け取りながら資産形成を進められる
・値上がり益だけに頼らず、長期保有しやすくなる
ここで紹介するのは、受け取った配当を再投資したり、将来の教育費や老後の生活費などに充てたりすることを目的とした投資です。
会社が安定した業績を残している限り、保有中に配当を受け取り続けることができます。そのため、長期保有では配当の有無とその水準が重要になります。
一般的には、配当利回り3〜5%程度が高配当の目安です。仮に配当利回り5%が20年間続けば、税金や現在価値を考慮しない単純計算では、投資額と同程度の配当を受け取ることになります。
もちろん、配当が続く保証はなく、配当を受け取っても株価がそれ以上に下がることはあります。それでも、配当を受け取りながら長く保有することで、値上がり益だけに依存する投資よりも、株価下落に耐えやすくなります。
例:総合商社、エネルギー企業、銀行、通信会社など
銘柄は配当利回りから検索できます。ただし、業績悪化によって株価が下がり、結果として配当利回りだけが高くなっている場合もあります。配当利回りだけで決めず、四季報などで業績や財務状態に大きな違和感がないかを確認しましょう。
ここでオススメする配当収入を狙うという考えは、これを再投資したり、あるいは生活費などに充てることを目的とします。(もちろん教育費や老後資金への充当も)
※教育費・住宅・老後まで含めた資産全体の設計については、こちらの記事で整理しています
③ 財務が安定している企業を選ぶ(倒産・減配リスクを抑える)
・自己資本比率が高く、借入金が過大でない企業を選ぶ
・利益と配当が大きく崩れていないかを確認する
配当を目的に長期保有する場合には、倒産だけでなく減配にも注意が必要です。業績が悪化して配当の元手となる利益が不足すれば、配当を減らしたり、無配になったりする可能性があります。
大型株・高配当株で候補を絞ったら、四季報などで業績、財務状態、配当実績を全体的に確認します。
財務諸表には、すべての企業に共通する唯一の読み方があるわけではありません。業種や事業内容によって、通常の利益率や財務構成が異なるからです。売上や利益の推移、借入金、配当実績などをざっと眺め、全体として不自然なところがないかを確認します。
とはいえ、最初から企業を総合的に判断するのは難しいため、まずは次のような指標を目安にするとよいでしょう。
・自己資本比率(40%以上が一つの目安)
・営業利益率(10%以上が一つの目安)
・過去5年間の利益と配当の推移
これらは、安全な企業を機械的に判定する基準ではありません。初心者が財務や収益の不安定な企業を避けるための目安です。
銘柄を見る力は、多くの企業を比較し、気になった数値の理由を調べることで身につきます。簿記の基礎知識を身につけたうえで、四季報を繰り返し眺めていれば、少しずつ企業ごとの違いや数値の違和感が分かるようになります。
最初から完璧に分析しようとせず、まずは大きな問題が見当たらない企業を選び、保有後も業績や配当を追いながら、自分なりの企業の見方を育てていきましょう。
失敗しにくい買いのタイミング
「いつ買えばいいのか?」で悩む人は多いですが、結論として完璧なタイミングを狙うのは不可能です。
株式投資では、完全な「売り時」「買い時」を見極めることは不可能ですので、シャーペンの芯のようなものです。
最初の数センチは使えない。
そのため、シンプルなルールを決めておくことが重要になります。
① チャート分析に頼りすぎない(初心者は避けるべき)
・チャート分析はプロでも難しい
・短期の値動きに惑わされると、感情的な投資になりやすい
特にチャート分析は難解ですから、初心者がチャートを見るならば株価が上昇傾向なのか下降傾向なのかを5〜10年スパンで確認する、くらいの利用にとどめましょう。
チャート分析は、個人的には初心者にはかなりハイリスクだと思います。
初心者は特に、「この株は今が買い時か?」と悩んでいる間に、買いチャンスを逃すこともあります。
株式投資は長期戦。短期の値動きより、5年・10年先を見据えることが大事です。
② 購入時期を分散し、納得できる価格で買う
・一度にまとめて買わず、購入時期を分ける
・長期保有でも、どの価格で買うかは無視しない
同じ企業でも、業績や株価によって、買いたい銘柄になる時期もあれば、今は買わずに待った方がよい時期もあります。長期保有を前提にしても、どの価格で買ってもよいわけではありません。
とはいえ、最も安い価格を正確に当てることもできません。そこで、あらかじめ候補となる銘柄を選び、過去の株価や現在の配当利回りなどを見ながら、自分が納得できる価格まで待ちます。
例えば、年間100万円を投資すると決めた場合でも、一度に一つの銘柄へ投資するのではなく、候補銘柄の中から、その時点で価格に納得できるものを選んで買います。
購入時期と銘柄を分けることで、高値づかみや一つの企業への集中を避けやすくなります。完全な底値を狙うのではなく、「この価格なら配当を受け取りながら長く持てる」と思える水準で買うことが重要です。
まとめ
個別株投資では、銘柄選びが最も難しく、同時に最も面白い部分です。企業を調べ、比較すること自体を楽しめなければ、個別株投資を続けるのは難しいかもしれません。
一方で、銘柄選びや四季報の読み方に、唯一の正解はありません。実際に多くの企業を見て、業績や株価を追いながら、自分なりの企業の見方を身につけていくものです。
その過程で致命的な失敗を避けるために、まずは次の大枠を守りましょう。
・大型株を中心に選び、倒産リスクを抑える
・配当利回り3〜5%程度を目安にする
・四季報で業績、財務状態、配当実績に大きな違和感がないか確認する
・複数の銘柄と購入時期に分ける
・納得できる価格まで待って買う
すべての銘柄を当てる必要はありません。大きな失敗を避けながら複数の企業を長く保有すれば、配当の積み上げや一部銘柄の値上がりによって、全体として利益を残しやすくなります。
ただし、市場は企業の業績だけでなく、投資家の期待や不安でも動きます。期間の切り取り方によっては、この方法でも損失が出ている局面はあります。また、短期的な値動きに反応して余計な売買をすれば、本来避けられた損失を確定させることにもなります。
そこで、このブログでは、買った後に余計なことをしないための長期保有ルールと、判断を誤った場合に損失への手当てを残すための特定口座の利用を、別の記事で解説しています。銘柄選びだけで完結させず、保有中の行動と税務上の逃げ道まで含めて、全体として負けにくい投資を目指しましょう。
次の記事では、さらに株式投資の注意点などを説明します。
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