NISAと特定口座の違い|初心者に特定口座が向く理由

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「株式投資に興味はあるけれど、リスクは避けたい」
そう考える人にとって、教育費や老後資金といった将来資金の準備と投資をどう両立するかは大きなテーマです。

本記事では、「まずはNISA」という通説とは異なる視点から、特定口座の方が手間やリスクを抑えやすい理由を整理します。税務処理の負担を減らしながら、無理なく資産形成を始めたい人向けに、考え方の基本をまとめます。

最初に選ぶなら「特定口座」

株式投資を始めるには、証券口座が必要です。
ただ、証券口座にはいくつか種類があります。

メディアでは、利益が非課税になる点からNISAが勧められることが多く、多くの人は「まずはNISA」と考えがちです。

ただ、初心者にとって重要なのは、非課税メリットだけではありません。
家計の状況が変わったときに柔軟に動けること、損失が出たときに対応しやすいことも同じくらい重要です。

その点で、最初の一歩としては特定口座の方が向いている場合があります。

  • NISA:利益は非課税だが、損失が出ても他の利益と相殺できない
  • 特定口座:利益は課税されるが、損失が出た場合でも他の利益と相殺しやすい

そして、「源泉徴収あり」を選べば税額が差し引かれるため、基本的に確定申告の手間もありません。

また、特定口座で生じる上場株式等の譲渡益や配当は、基本的に分離課税です。
そのため、給与所得などに対する課税と切り離して扱われ、通常は本業の給与課税に直接影響しません。

教育費や老後資金とのバランスを見ながら行う資産形成では、無理なく続けられることが大切です。
そう考えると、最初からNISAにこだわるより、特定口座で手間とリスクを抑えて始める方が合理的なケースもあります。

ステップ1:特定口座を開設する

おすすめは「特定口座(源泉徴収あり)」です。

特定口座では、証券会社が口座内の株式等について、取得価額や譲渡損益、税額を計算します。源泉徴収ありを選択すれば、口座内の譲渡益については原則として確定申告も必要ありません。

また、同じ特定口座内で生じた譲渡益と譲渡損失は自動的に相殺されます。一定の配当等をその特定口座に受け入れている場合には、配当等と譲渡損失との通算も可能です。

仕事や家事で忙しい共働き夫婦または投資初心者にとって、税金の計算や確定申告の手間を減らせることは大きなメリットです。

ただし、異なる証券会社の口座間で損益通算する場合や、控除しきれない譲渡損失を翌年以後3年間繰り越す場合には、確定申告が必要です。

ステップ2:NISAは注意が必要

「NISAはおすすめ」と盛んに言われますが、NISAは投資をすれば必ず得になる制度ではありません。

NISAには、次の注意点があります。

①利益や配当等は非課税になる一方、損失はなかったものとされる
②NISAで生じた損失は、特定口座などの利益や配当等と相殺できない
③売却後に非課税運用額をすぐに元へ戻せないため、実質的な資金拘束がある

NISAの非課税メリットが生きるのは、保有する株式から配当や売却益が生じた場合です。一方、NISAで損失が生じても、その損失を特定口座などの利益や配当等と損益通算することはできません。翌年以後に損失を繰り越すこともできません。

そのため、NISAを有効に活用するには、企業が継続して利益を上げ、長期的に配当や株価の上昇が期待できる銘柄を選定する必要があります。そのような銘柄を長期保有できる人にとって、NISAの非課税メリットが生きます。

一方、特定口座では、同じ口座内で生じた譲渡益と譲渡損失が相殺されます。

NISA→利益や配当等は非課税になるが、損失が生じても税務上の手当てはない
特定口座→利益や配当等には課税されるが、損失を利益等と相殺できる

NISAには実質的な資金拘束がある

NISAで保有する株式は、いつでも売却・換金できます。しかし、売却しても、その年に使用した年間投資枠は復活しません。

売却した商品の取得価額に相当する非課税保有限度額は翌年以後に復活しますが、翌年の年間投資枠が増えるわけではありません。そのため、大きく取り崩すと、元の非課税運用額に戻すまでに時間がかかります。

その結果、「非課税枠を失いたくないから売却しない方がよい」というインセンティブが働きます。制度上はいつでも換金できますが、非課税メリットを維持しようとすれば資金を動かしにくくなるため、実質的な資金拘束があると考えられます。

教育費などへの転用を含め、途中で取り崩す可能性がある資金については、非課税枠を気にせず売却できる特定口座の方が柔軟です。

投資に慣れてからNISAを検討する

どの企業が長期間にわたって利益や配当を維持できるのかを判断するには、事業内容、業績、財務状況、配当実績などを確認する必要があります。

そのため、投資を始めたばかりの段階では、まず特定口座で少額の現物投資を始める方法があります。銘柄選定の経験を積み、長期保有できる企業を選定できるようになってから、NISAの活用を検討すればよいでしょう。

以下はあくまで私見ですが、NISAと特定口座の性格から向いていると思われるケースをまとめています。

投資する資金・状況向いている口座
長期保有でき、利益や配当を期待できる銘柄NISA
投資を始めたばかりで銘柄選定を学ぶ段階特定口座
教育費などに途中で転用する可能性がある資金特定口座
他の株式等の利益や配当等との損益通算を重視する特定口座

なお、本ブログでは「NISAだから投資信託を購入する」という考え方は採っていません。長期保有する個別銘柄の選び方については、次の記事で解説しています。

ステップ3:おすすめの証券会社

証券会社選びに迷ったら、以下の2社が特におすすめです。

①楽天証券
使いやすいスマホアプリで初心者向け
楽天ポイントを使って投資できる

②SBI証券
業界トップクラスの低コスト IPO(新規公開株)投資にも強い 

どちらも手数料が安く、初心者でも操作しやすいので、迷ったらこの2つから選べば良いでしょう。(株式投資では、手数料を抑えることがポイントです)

ステップ4:初心者は「現物取引」からスタート

株式投資にはさまざまな方法がありますが、長期投資を前提とするなら、まずは手持ち資金による現物取引から始めましょう。

①信用取引
証券会社から資金や株式を借りて取引するため、投資した資金を超える損失が生じる可能性があります。

②現物取引
手持ち資金で株式を購入するため、信用取引のような借入れや追加保証金のリスクはありません。

現物取引でも株価下落による損失は生じますが、信用取引のように借入れによって損失を拡大させることはありません。

共働き夫婦や投資初心者が長期的な資産形成を行うなら、余裕資金による現物取引で、銘柄を頻繁に入れ替えずに保有することが基本です。

まとめ

株式投資を始める場合、非課税という理由だけでNISAを優先する必要はありません。

NISAでは利益や配当等が非課税になる一方、損失が生じても、特定口座などの利益や配当等と相殺できません。また、株式を売却しても非課税運用額をすぐに元へ戻せないため、実質的な資金拘束があります。

まずは特定口座(源泉徴収あり)で少額の現物投資を始め、企業の業績や財務状況、株価の動きを見る経験を積む。そのうえで、長期間にわたって利益や配当が期待できる銘柄を選定し、NISAで保有するのが、リスク管理を重視した使い方です。

特定口座とNISAのどちらか一方を選ぶのではなく、資金を途中で取り崩す可能性や、銘柄選定の習熟度に応じて使い分けましょう。

共働き世帯の資産形成を整理したい方へ

資産形成は、投資商品を選ぶだけでは決まりません。
住宅取得、教育費、老後資金、保険、税金、相続まで含めて、家計全体で考える必要があります。

このブログでは一般的な考え方を整理していますが、実際の判断は、収入、家族構成、住宅ローン、教育方針、保有資産によって変わります。

個別の状況を前提に整理したい方は、内容に応じて単発相談をご利用ください。

この記事を書いた人
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税理士・佐野匡司
大阪の小さな事務所を運営する現役税理士。
官報合格(試験合格)+実務経験15年以上。
中小企業オーナーや資産形成を志す個人(特に共働き夫婦・パワーカップル)に向けて、
「リスクを抑えたお金の戦略」を発信中。

保険・投資・不動産などの販売とは無縁の独立系の立場から、
中立的で実務に根ざした情報をお届けします。

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