大きな修繕などをするときは…全額が一発で費用にならないこともある

 資産計上とは一発で費用にするのではなく、徐々に費用にしていくことですが、大きな修繕などをしたときは一発で費用になるか徐々に費用にするかで、当期の利益が大きく変わるので注意を要します。

思わぬ負担になることも…

 事業を続けていると、大きな修繕などをすることがあります。全額が支出した期の費用になると思ってたら、徐々に費用にするので思いのほか費用が少なくなってしまった…

 

 費用が減ると、利益が増えますから、利益に対して課税される法人税も増えてしまいます。思わぬ負担になりますので、どのくらいが当期の費用になるのか把握しておきたいです。

 

一発で費用になるのか、徐々に費用になるのか

 上の図にあるように、大きな支出(修繕や改良など)をしたときは、その支出をしたことで、修繕や改良の対象になったものの価値が①高まったのか、②元の価値まで戻しただけなのかで取り扱いが異なります。

 

 たとえば、建物が傷んできたので修繕をします。その際、従来は無かった避難階段などを新たに付け加えれば、その分だけ価値が高まっていると考えます。価値が高まった部分は資産として計上し、徐々に費用にしていくことになります。

 

 一発で費用にできる支出を「収益的支出」、資産に計上して徐々に費用化していく支出を「資本的支出」といいます。この辺りの判断は、難しいので税理士に相談されることをお勧めします。

 

どちらかよく分からない支出

 価値を高めたのか、元に戻しただけなのか曖昧な支出も多いのが現実です。こういった場合には、以下のような目安があります。

 

少額又は周期が短いとき※

①支出が20万円未満→修繕費として全額支出時の費用にできる

②おおむね3年周期で修繕している→修繕費として全額支出時の費用にできる

 

 ※このときは価値を高めていても支出時の費用にできます

 

価値を高めたのかもとに戻したのかよく分からないとき

①支出が60万円未満→修繕費として全額支出時の費用にできる

②支出がその資産の前期末の取得価額のおおむね10%以下のとき

 →修繕費として全額支出時の費用にできる

③上記以外のとき

 →「支出額の30%」と「前期末の取得価額の10%」のいずれか少ない金額を費用とし、残りは資本的支出(資産として計上し、徐々に費用化する)

 

 ※取得価額≒買ったときの値段+付随的な支出

 

 大きな支出をしたのに、全額が一発で経費にならなかった…よくある勘違いですので、気をつけてください。

(参考)資産計上とは?…一発で費用にしないこと