税理士とうまく付き合うための顧問契約

税理士のサポートをうまく利用することで、自分だけで経営を管理するよりも短い時間で高い効果を得ることができます。

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経営のパーソナルトレーナーみたいなもの

パーソナルトレーナーという職業があります。

専門知識の有るトレーナーにトレーニングを見てもらうことで、「自分にあった方法で無理なく目標に到達できる」「人に見てもらうことでモチベーション管理にもなる」「適切なアドバイスが貰える」など

1人だけでトレーニングするよりも、短い時間で高い効果が得られるということで最近よく目にするようになりました。

トレーニングと経営は…「継続しなければならない」「目標を達成しなければならない」「孤独である」などという点で似ています。

ですから、経営にもパーソナルトレーナー的な位置づけの者がいることで、効率的に目標に到達することができます。
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決算や税金には専門知識が必要

会社を運営すると最低でも年に一度は決算という作業が必要になります。決算とは、会社の直近一年間の経営の状況をまとめた書類を作ることで、いわば自分の会社の成績表を作ることです。

会社の成績表である決算書を基礎として、税金を計算し、その税金を支払います。また、融資などのため銀行などの関係者に対しても決算書を提出することもあります。

自分の会社の成績表を作るためには、さまざまなルール(法律)が有り、なかには専門的な知識を要するものも有るため、専門的な知識でバックアップし、決算書や税金の計算をサポートするのが税理士です。

納税者(税金を払う人や会社)に代わって税金の計算をし申告書を作成しても良いのは税理士だけと法律で決まっています。

税理士は、会社の成績表である決算書の作成をする過程で、会社の様々な数字や内部事情に触れます。パーソナルトレーナーが体調などを見ながらトレーニングメニューを組み立てるように、

経営状況を見定めながら、クライアントの目標達成のため、会社の数字の解説や分析を述べたり、提案をしたりします。

会社の税金は自分でコントロールする

会社の税金で大きなものは、法人税と消費税です。これらは会社自身が計算し、その結果の税額を支払うという仕組みで、この仕組みを申告納税方式といいます。

自分で計算をするということは、自分の行動をコントロールすることで、税金もある程度はコントロールできるのです。行動によって、決算(経営の成績)が変わり、税金が変わるわけです。

冒頭の話で言えば、闇雲に体を鍛えるよりも、結果をある程度見通しながら(着地点を意識しながら)、毎日のトレーニングをしたほうが効果も高いでしょう。

日本の会社の約7割は赤字決算だとデータがありますが、意図的に赤字にしているケースも有り、決算や税金をコントロールできることの証左でもあります。

また、申告納税方式とよばれる税金の仕組みは、自分で税金を計算するので、少々自分に都合の良すぎる解釈をしたり、意図しないで間違えてしまったりすることもあります。それを監視するのが税務署なのですが、

やりすぎると税務署がペナルティを課してきます。法に触れてしまっては、会社の社会的信用も損ねてしまい、今後の経営の行く末にも暗い影を落としかねません。

かと言って、ペナルティを恐れて過剰に画一的な経理処理や解釈をしていても効果的な将来を見据えた経営はできません。

ペナルティがかからないよう、かつ適切なバランスを取るには、会社のことや経営者の考えを理解し、阿吽の呼吸で決算の着地点を探るサポートするのが税理士の役目です。(AIでは、経営者と阿吽の呼吸という訳にはいかないでしょう。)

状況を適切に把握するために顧問契約する

税金を正しく計算する・適切な決算をするためには、税理士は日頃からクライアントの状況(会社のお金の流れ、経営者の考え、会社の目標など)を把握しておく必要があります。

パーソナルトレーナーが日々の様子(体調や、数値、場合によっては顔色etc)を観察しながら、トレーニングメニューの負荷を上げたり下げたりするように、税理士も日頃から観察しておくことで、

経営者の求める答えを用意し、ともに解決策を考え、目標とする到達点へ達するためのサポートができるのです。

状況を把握するためには、一定の期間毎にデータを確認し、クライアントと話をしたり、場合によっては事務所や店舗を直接見たり、といったことが必要です。

そのため、顧問契約を結び一定の期間ごとにクライアントとコンタクトを取り、目的を共有することが必要になるのです。

クライアントに状況を適切に伝える

トレーニングを積むと、身体に痛みを感じることがあります。

単なる筋肉痛だったり、怪我だったり、怪我でなくてもトレーニングの仕方が自分にあっていないので痛みが出ているのかもしれません。

わかりやすく痛みが出てくれればいいのですが、場合によっては痛みもすぐに出ないこともあります。

経営においても、わかりやすく変化が出るとは限りません。

そういった、変化を捉えるために一定の期間毎にデータを確認したり、実際にあったりすることがどうしても必要になります。

そして、それをクライアントに適切に伝えるのも税理士の役割です。

月単位で経営状況をまとめた月次試算表であったり、月ごとの数字の変化をまとめた推移表だったり、資金繰りの状況が分かる資金繰表や、予算計画の進捗度合いを示した予算実績表、同業他社との経営数値の比較表など、クライアントに合わせた報告資料を作ったり説明したりすることで、クライアントが自信の状況を掴むのをサポートします。

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また、トレーニングには目標がつきものです。

大会に出場する、目標のタイムを達成する、腰回りをあと数センチ引き締める、100メートル泳げるようになる、60キロのバーベルを20回あげるetc

経営にも目標(具体的な数値でなくても、堅実な経営をしたいとか、量よりも質を重視したいとか、そういった目標でもいいでしょう)があるはずです。

それらを共有し、計画として反映させ、進行具合(進捗)を確かめながら、場合によっては軌道修正しながら、ゴールを目指すサポート役も税理士に期待される役割です。

外部だからこその立場

物事には、内部にいては気づかない(会社の内部にいる人間では、言えないことも多くあります)、部外者だからこそよく見えることがあります。

顧問とは、物事を決定する権利はないけれど外部から意見や分析を述べる立場というような意味ですが、外部だからこそ意見を述べたり、話を聞いたりができます。

会社の人間には言えないけれど…ということも有るでしょう。

相談することで全てが解決するわけではありませんが、話してみることで頭の中が整理されたり課題が明確になったり、気が楽になったりということは意外とあります。

トレーニングに仲間を作ると同じ悩みなどを相談できたりと良いことがありますが、会社の外部に相談できる(信頼できる)相手がいるというのは精神的にも、物理的にも大事なことではないでしょうか。

そんなところにも、顧問契約のメリットはあるのではないでしょうか。