税理士報酬額の基礎〜金額だけで考えると結局損する

税理士事務所(会計事務所)へ支払う報酬について説明します。

スクリーンショット 2018 10 22 21 15 53

税理士コストはおおむね3つ

税理士(会計事務所)へ支払う報酬はおおむね次の3つから構成されています。

 ①顧問料 ②決算料 ③臨時報酬

顧問料は毎月発生しますが、決算料は決算月だけ、臨時報酬はなにか臨時で業務を依頼したときに発生します。

顧問料が不要という税理士や事務所もたまにありますが、その分だけ臨時報酬で請求するという方式なので、月々の顧問料で考えるよりも年間にどのくらいのコストが必要なのかを見るべきでしょう。

①月次顧問料

税理士の提供するサービスは、継続的にクライアントの状況を観察していないと最大限の効果が得られないという制約がかかるので顧問契約を結び、月ごとに顧問料を支払います。

(参考)税理士とうまく付き合うための顧問契約

この顧問料は、クライアントの売上高や従業員数、税理士事務所の人間がクライアントへ訪問する頻度(毎月とか2ヶ月に一度とか)業態(製造業や建設業などは経理が複雑)やクライアントの経理担当者がどこまでデータなどを作成するのか等を総合的に考慮して決められます。

ネットで検索すると大まかな相場が見れますが、顧問料は金額だけで判断せず、提供されるサービスをしっかりと確認すべきでしょう。

激安を売りにする業者の場合、こ人件費の安い未経験者などを使ってとにかく大量にデータを捌くことで原価を安くあげています。したがって、経営に関するアドバイス等は期待できません。

データの作成は付加価値が高いものではないので、こういった方法もやむを得ないでしょうが、「とにかく安く」を追求しすぎると「安物買いの銭失い」ということになりかねません。

②決算料

会社は基本的に一年に一度、自分の会社の成績表を作成しなければなりません。この成績表に「利益」が記載されており、これをもとに税金を支払ったりします。(融資の審査書類になったり、税金以外にも様々な面で利用される重要なものです)

ですから、自分の会社の成績表を作成する工程を「決算」といいます。

決算(それから決算をもとに税金の申告書を作る)には専門的な知識が必要となり、ミスが許されません。ですので、会社ではできませんから税理士に委託をします。

税理士としても、様々なことを調べ法律に基づく専門的な判断などもしながら決算作業を進めていきます。腕の見せ所であると同時に、手間暇もかかるので別途「決算料」がかかります。

相場としては、だいたい月額顧問料の4〜6ヶ月分です。事務所によっては、決算料を月次顧問料に織り込んで、決算料は請求しない事務所もあるようです。

また、年1回・決算のみの関与といった契約の場合には上記の相場よりも高くなります。決算のみの関与だと、一定の頻度でクライアントを訪問しているよりも、決算のタイミングで一年間の取引をすべて確認したりと作業の負担が極めて大きくなるからです。

特殊な事情がない限りは、年1回・決算のみ税理士に依頼をするというのは(上記の理由から)できるだけ避けたほうが良いでしょう。(弊社では、決算のみの依頼というのは基本的にお断りしています)

③臨時報酬

月次顧問料、②決算料以外の税理士への報酬です。主なものは年末調整、法定調書・合計表、償却資産税の作成料金です。業務が12月〜1月に集中していますので、1月にまとめて請求することが多いようです。

※年末調整とは、従業員の給料から天引きされる所得税を年末のタイミングで精算する手続き。
※法定調書・合計表は、一年間に会社が行った特定の取引について税務署に報告するための書類を作る手続き。
※償却資産税とは、固定資産税の一種で事業用の一定の減価償却資産がどれだけあるのかを市町村別に申告する手続き。

年末調整や、法定調書・合計表の作成は一定数までは顧問料の範囲で対応し、一定数を超えると別途料金が発生するという場合が多いようです。(例えば、従業員数3人までは顧問料の範囲で対応するが、4人目以降は1人につき2,000円とか。)

また、極端に安い顧問料の場合は別途報酬になることが一般的です。

あとは、税務調査の立会報酬です。

※税務調査とは、税金の申告などが会社の実態に即しているかどうか確認するために税務署が状況を確認(調査)しに来る。申告が実態に即していなければ、指導を受けたり申告を改めて追加で税金を支払ったりする。

調査に立ち会った日数に応じて請求しているようです。場合によっては、修正申告書の作成料が発生したりします。

上記以外にも、融資の審査ための資料を作成したり、経営会議に立ち会ったり、事業承継対策などのために自社株評価をしたりといった特殊業務には別途報酬が必要です。

金額だけで考えると結局損する

概ね上記の①+②+③で年間の報酬額が構成されています。税理士を決める際に報酬・料金が大きなファクターとなるのは間違いないでしょうが、提供されるサービスはしっかり確認した方が良いでしょう。

金額だけで考えると、税理士・事務所によってはこのサービスは別途〇〇円とか追加でかかったり、安いなりにアドバイスをしないとかもありえます。

業務・サービスに対する考え方に賛同出来る税理士(会計事務所)を選ばれた方が良いでしょう。それが事前にわかったら苦労しないんでしょうけど、まぁブログを見て考え方などを確認するとかのためにこのブログがあります。(手前味噌)