税理士と資金繰り

 HPを作成中に業務のことを考えて頭の中を整理してましたら、資金繰りのことに行き着きましたので、ここで記しておきたいと思います。

 税理士と資金繰りってタイトルですが、税理士がお金を貸す訳ではありません。お金を借りるのは金融機関(銀行)からです。税理士は銀行からお金を借りる際に、手助けになる資料を作成したり(資金繰り表)といった面でサポートしていきます。

 

 さて、突然ですが企業がつぶれる時ってどんな時でしょうか?

 

 一般的なイメージでは、赤字決算が続いて経営がどうにもならなくなったときでしょうか。ただ、これは若干正確性に欠けます。赤字がいくら続いても、つぶれていない会社はたくさんあります。現に日本の法人の約7割が赤字申告(赤字の状態で税金の申告をすること。税金・とりわけ法人税は利益にかかる税金なので、赤字だと税金を納めなくても良い)と言われています。

 

 企業がつぶれるのは、資金が無くなった時です。逆に言えば、資金が回り続ける限り会社はつぶれないのです。

 

 では、企業はどこからお金を調達してくるかと言えば、大企業であれば株式市場を通じて直接お金を調達出来ますが、中小企業においては、金融機関からの借入が一番大きな方法でしょう。

 

 

 銀行はお金を貸すのが仕事とはいえ、いきなり何の準備もなしに銀行に行って、「明日金がいるから1000万貸して」といっても難しいでしょう。銀行も商売ですから、貸したお金をしっかり返してくれるところに貸したい訳です。その際に重視されるのが財務諸表(B/S、P/Lなど)です。(昔は担保があればお金が借りれたようですが、現在は財務諸表を分析して、数値の良い→お金を返してくれる会社に貸しています。)

 (参考)

  B/S:決算日の財産や債務の状況を表し、お金の調達状況と運用状況を示す書類

   P/L: 一定期間(1年間)の儲けがいくらかを示す書類

 

 財務諸表の作成に大きく関わるのは、税理士ですので、普段から税理士と密にコミュニケーションをとり、金融機関が気にする財務諸表の数値の改善を図っておけば、自ずとお金が借りやすくなります。

 

 税理士と協力して財務諸表を改善すればお金が借りやすくなる


 あと、「雨が降ってから傘を差す」のではなく「雨が降る前に傘を用意する」ことも重要です。もう少し分かりやすく言えば、「いつ資金が必要になるか事前に把握しておく」ということです。事前にお金がどのくらい必要か分かっていれば、対策がとりやすいです。

 

 その為に有効なのが、「資金繰り表」です。資金繰り表を作成し、これまでのお金の流れの把握と今後のお金の出入りを予測しておけば、いつ資金が不足するのかが目に見えて把握出来ます。お金の流れが把握出来ると、手元にあるお金が「使ってよいお金」なのか「使ってはいけないお金」なのかもはっきりします。

 

 資金繰り表のメリット

 ①お金の流れが把握出来る

 ②手元のお金が「使ってよいお金」かどうかが把握出来る

 ③いつ資金が必要になるか予測が出来る

 

 月次試算表などを通じて、経理状況を把握しているのは税理士ですから、資金繰り表の作成にあたって頼りになるのが税理士です。また、しっかりした資金繰り表があれば金融機関への説得の材料にもなります。税理士と協力して、是非資金繰り表を作成してみて下さい。