税理士の業務集中期

繁忙期(業務集中期)という表現の好き嫌いは別として、税理士業界は冬に忙しい業界と一般的には言われています。

冬に業務が集中する

 繁忙期という考え方がいいか悪いかは別にして、一般的に税理士・会計事務所の業務が集中するのはは大体12月頃から5月頃までです。この間は、色々と書類を作成したり、時間に追われたりと慌ただしい日々を過ごすことになります。

もちろん、事務所によって違いますので、仕事をうまく平準化(前倒しして処理したり)していれば、そこまで慌てなくてもいいんでしょう。

12月は年末調整 

年末の12月は、年末調整といって一定の給与所得者(平たくいえばサラリーマン)の所得税の清算手続きをします。

所得税は年間の税額を予想し、月々の給料から一定額を天引きしており、(これを源泉徴収といいます。)その年の最後の給料の支払い時(つまり12月の給料)に、本来納めるべき税額と天引きした金額を比べて精算するのです。天引きした税額のほうが大きかれば還付(返ってくる)され、小さければ追加で徴収されます。

年末調整自体は、そんなに複雑な話ではないのですが、時期が集中しますので、必要書類等を上手に準備しなければ大変なことになります。

1月は法定調書・償却資産税

1月は法定調書・償却資産税の申告があります。

法定調書とは、税務署の資料収集の協力業務で、前年中の一定の支払いを様式ごとにまとめて税務署に報告します。

代表的なものは、源泉徴収票です。(同時に給与支払報告書といって、源泉徴収票の地方自治体提出用のものを作成し、従業員の住んでいる市町村に提出します。これをもとに、市町村は住民税を決定し、その年6月から徴収していきます。)

償却資産税とは、固定資産税の一種で、同一の市町村内における備品や機械等の保有高が一定額(150万円)を超えている場合、その所在市町村へ申告するという制度です。土地や建物にも固定資産税はかかりますが、登記の制度により市町村は把握していますので、登記の制度のない備品や機械等は申告させることで税金の対象となる備品等を把握するわけです。

税額自体は、市町村が決めて通知してきます。備品や機械等の所在する市町村ごとに申告をしなければなりませんので、事務所や営業所を多く抱える会社は大変です。

2・3月は個人の確定申告

2・3月は個人の確定申告の時期です。

個人事業主の方以外にも、サラリーマンで医療費が多額の方や、高額な資産を売買した方等も申告をしますので、非常に多くの方が申告をします。法人と違って、個人の場合は確定申告の時期がこの時期に限定されていますので、必然的に業務が集中してしまいます。

4・5月は3月決算法人の確定申告が集中

4・5月は3月決算の法人(=会社)の申告が集中します。(会社は自由に決算時期を決められるのですが、4月始まりの3月終わりの会社が最も多いと言われています)

決算業務は、どのような規模の会社であっても確認を要することが多く必然的に手間も時間もかかってしまうので、決算が集中する月は新規のクライアントをお断りする税理士事務所も有るほどです。(決算期は変えられるので、状況によっては変更してもいいかもしれません)

そんなわけで、3月決算・5月申告の法人が多いので、4・5月はこれらの法人の決算・申告作業に追われることになります。

税理士・会計事務所は季節労働者?

こうして見ると、税理士・会計事務所は冬は業務が集中し、夏は余裕が出てくるという傾向があります。

旧来の事務所はそういう傾向が強いですが、進歩的な税理士さんは繁忙期を作らないような工夫をされているところもあるようです。(まだまだ数が少ないですが)

いい悪いは別にして、ゴルフが好きな税理士が多いのは業務が冬に集中するからでしょう。

営業電話お断り

税理士業をやっていると営業電話がかかってくることも多いです。(ウチは営業電話はお断りしていますが。)

業務が集中している時期などに営業電話がなっても、まともな対応ができません。

始業開始直後の9時頃、昼の休憩時間及び休憩空け直後の13時頃、それから終業間際の時間などはどこの業界でも電話NGが多いようです。

どの時間帯も忙しい時間帯だったり、さあこれから仕事に取りかかるぞってときなのでなるべくなら避けた方が無難だといわれるのは分かります。

ちなみに税理士業では、朝及び昼に訪問をすることが多いので、比較的夕方は事務所にいる率が高いのではないでしょうか。(税理士業は約95%の事務所が5人未満の事務所ですので、税理士本人が飛び回っていて不在ということは残念ながらよくあることです。)

個人的には、繁忙期に営業電話をうけて成功したという例を見たことがありません。相手に対する配慮がない人から、買いたいとは誰も思わないでしょうから。