平成27年から相続税の大きな改正があります。基礎控除といって、相続税がかからない財産の金額が引き下げられるというものです。
基礎控除が4割ほどカットになります。基礎控除が減るということは相続税がかかる人が増えるということになります。
現状では亡くなった方のうち、相続税を納税する方は約4%程度だといわれていますが、この改正を受けて約6〜7%程度になるのではないかといわれています。
もう少し具体的に言えば、4人家族でお父さんが亡くなった場合には、平成26年までは8,000万円までが税金がかからないラインだったのですが、27年以降は4割カットされて4,800万円までが税金がかからないラインに引き下げられます。
そうすると、都市部に家を持ってらっしゃる方で、金融資産がそこそこあられるといった場合には、相続税を支払わなければならない可能性が大きくなります。
簡単に概要を見てもこれだけ相続税のニーズが上がっているのですが、相続税に詳しい・精通している税理士って意外と少ないのが現状です。
確かに、「相続やってます」って看板を掲げている事務所はホームページ上はいくつも目に入りますが、実際のところ、「実態が伴っているのか?」となると…
その背景にはいくつかの事情があります。
まず、相続税申告自体を実務で触れる経験が少ないことがあげられます。1年間の相続税の申告件数を税理士の数で割ってみると、一人あたりの税理士が扱う件数が分かります。計算してみると、およそ0.8件となるといわれています。
このことから分かる事実は、相続税申告の経験のある税理士はたくさん経験をしているが、経験の無い税理士は全くしていないということです。
そして、もう1つ注意をしなければならない点は、件数を扱っているからといって相続に詳しいとは限らないということです。
それは税理士になる方法に理由があります。
税理士になるにはいくつかのルートがあります。その中で、もっとも優秀といわれているのが試験合格の税理士です。
国家資格でも難関といわれる税理士試験を合格しているのだから、その能力については疑う余地はないですよね。
ところで、税理士試験では、全部で11科目の会計・税法科目のうち5科目を修めれば(合格すれば)税理士となります。相続のエキスパートになろうと思うと、相続税法に合格することが必須です(実際、相続に関する資格の中では民間団体が検定している胡散臭い資格もありますが、最も信頼性が高いのは税理士試験の相続税法です)が、相続税法はなんと、「必須科目」ではないのです。
ですから、相続税法を合格していなくても税理士って名乗れるんです。
ただ、相続業務って、実務にも税法も含めた法律にも精通していないと出来ない(出来ているように見えても、実はリスクでぐちゃぐちゃってことも)のです。
そうすると、「相続税申告をある程度の数こなした経験」があって、なおかつ、「税理士試験の相続税法を合格している」税理士が、相続に精通している税理士ってことになります。
この条件に当てはまらない税理士が全てダメだということではありませんが、素人の方が「税理士の力量」的なものを推し量る1つの基準にはなるでしょう。
そう考えると、相続に精通している税理士って殆どいないんですよね。