田舎の豪邸より都会のマンション

田舎に住もうが都会に住もうが本人の勝手なのですが、いずれ人は死ぬもの。死んだあとの遺族などが困らないのは、田舎の豪邸より都会のマンションです。

人口の推移から

日本における出生数は90万人、死亡者数は140万人あたりで推移していますから、いわゆる人口減少社会になっています。
この傾向は当分続きそうです。

人が減れば、不要な不動産も増えていくでしょうし、田舎の土地のほうが都会の土地よりも処分は難しいので、田舎の不動産より都会の不動産の方が投資的な価値は高く、売却などの処分もしやすそうです。

都心回帰の流れから

また近年の都心回帰の流れから、都市部で人口が増加しています。
日本の人口は減少しているにもかかわらず、都市部の人口が増えているということは、田舎の人口減少はより深刻です。

田舎の人口減少が進めば、例えばスーパーや病院などの生活に必要な施設もなくなる可能性もあり、田舎に住むのも大変だと思われます。

空き家を畳むのは大変

田舎から都会に出てきた子供が、実家の土地建物を相続で引き継ぐことがありますが、この場合の実家の処分も面倒です。

田舎だと市場が小さいですから、すぐに買い手が見つかるとも限りませんし、売れるまでの間は維持費を負担しなければなりません。

取り壊しにも費用がかかりますから、田舎の豪邸は住む人以外には、あまりメリットが無いのが現実です。

また、豪邸でなくても家屋が老朽化すると倒壊などの危険もあり、いわゆる「特定空き家」となれば固定資産税が増額されるなどのリスクもあります。

相続税でも有利

相続税の仕組み上も、田舎の豪邸より都会のマンションの方が有利です。
とりわけ顕著なのが「小規模宅地等の特例」で、この規定は生活の基盤となるような宅地等は、その評価額を最大で80%カットできるというものです。

要は、土地の課税対象がものすごく減る、税金が安くなります。

ただし、この小規模宅地等の特例は面積に制限があり、例えば自宅などの居住用でしたら330㎡が上限です。

田舎の豪邸は土地の単位当たりの価格は安くても面積が広いのに対し、都会のマンションは土地の単位当たりの価格は高くても、面積は狭く、更にマンションは部屋の面積で割ります。
田舎の豪邸だと思う小規模宅地等の特例の恩恵を充分に受けられないということもあり得ます。
相続税の観点は、明らかに田舎の豪邸より都会のマンションの方が有利です。

あくまで一般論

「田舎の豪邸より都会のマンション」は、あくまでも一般論で、都会のマンションだったら何でも良い訳ではありません。
不動産は、それぞれの個別的な特徴が強いですから、その選別にはそれなりの知識や経験も必要です。

また、「田舎」をどう捉えるかにも依るところは大きいため、実際にはさまざまな要因を検討しなければなりません。

それらを充分に考慮したうえで、残される家族のためになにがベターなのか、生きているうちにしっかり考えて、ある程度の道筋をつけておくのが、とくに豪邸を持っている名士の務めではないでしょうか。