税理士との関わり方の中で、年一回決算(確定申告)のときだけ依頼するという形態がありますが、いくつかの理由からお勧めしません。
税理士との契約いろいろ
税理士との契約形態は色々とあります。訪問を前提としている契約であれば毎月訪問、数ヶ月に一回の訪問、年一回の訪問などです。
また、訪問を前提とせず資料を送付して決算・税務申告書の作成を依頼する形態もあります。(あるいは税理士側が訪問しないので、依頼者側が税理士事務所を訪問するなどのパターンもあります)
どのような形態で依頼するのかはケースバイケースなのですが、私見として年一回の関与という形態は避けた方が無難でしょう。
年一回関与は避けた方が無難
そもそも税理士に依頼する大きな目的の1つはリスクの軽減のためです。私も税理士として様々な方とお話ししたり経理状況を伺うことが多いですが、専門の経理担当者を雇っている会社や事業者でさえ自分自身で決算・申告が十分に出来ていないのが現状です。
個人のごく簡単な確定申告であればともかく、個人事業主で事業をしている場合や法人の税務申告書等は自身で作成できるものではありません。また、体裁だけは整えても十分にリスク等を検討できていないことが殆どです。
そういったリスクを軽減するために税理士に依頼するわけですが、年一回の関与形態だとその効果が充分に発揮できません。
年一回の関与だと…
・全ての取引を把握できない→調査対策等も不十分
・依頼者側に問い合わせても内容を忘れている
・節税策等は事前準備が大事。決算が締まってからでは間に合わない
・同じく、納税資金の手当も年一回関与だと十分に出来ない
・税制改正も含めた情報提供をタイムリーに出来ない
といったような側面がありリスクを軽減することが不十分だと思われます。せっかく税理士に顧問料等を支払っているわけなのだから十分に活用しないと勿体ないのですが、年一の関与だと全く活用できていません。
おそらく多くの場合が「年一回関与の方がコストが安いから」といった理由でそのような形態を選択しているのでしょうが、多少の金額の差ならば少なくとも年に2,3回は税理士と顔を合わせておいた方がいいでしょう。
年一回関与でも良いかもしれない場合
基本的には税理士と契約するならば年に数回は顔を合わせるようにした方がいいのですが、年一回の関与でも十分なケースがあります。
・不動産管理、アパート経営等のように取引が殆ど定型化している
・もともとは税理士関与していたが、事業規模が小さくなってきたので関与形態を年一回に変更した
・様々なリスクは全て自己責任。ともかく安く抑えたい。
・税理士は決算、税務申告書の作成さえしてくれれば良いと考えている
世に出回っている節税本などはとても良い本もあれば、根拠の極めて曖昧なものや、机上の空論のようなものまで様々です。そういった情報に惑わされると「安ければ安い方が良い」と考えがちですが、少し立ち止まってリスク面を考慮いただければ幸いです。