アパートの相続税評価が下がるワケ

賃貸アパートを相続した場合、一部に空室があった時の救済措置があります。

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アパートは相続税が安い?

アパートの建物と、その敷地は相続税の評価をする上で安くなるというのは有名な話です。

 

そういったネタで、地主さんの相続税対策として「アパートを立てて相続税を安くしましょう」というスキームは随分と昔から使い古されている古典的ですが、人気もあり、一定の需要もあります。

 

専門的な話はさておき、アパートやその敷地は、所有者が自由に使えません。大家だからといって店子の部屋に勝手に入っていけばいろいろなところにご厄介になってしまいます。所有者にはそういった利用上の制限がかかってしまうので、自己所有で自己が利用している土地(自宅の敷地など)よりも使い勝手が悪いことを考慮して、相続税の評価が下がるというわけです。

 

空室があると…

店子がいることによってアパートとその土地に利用上の制限がかかってしまうから評価が下がる。簡単にいえばそういった理屈なわけで。

 

そこで問題になるのが、店子が入っていない場合です。要は空室。

 

最近では、都市部・郊外を問わず賃貸物件の空室率は上がってきています。(郊外のほうが空室率は高いですが…、地域性以外にも物件が店子にニーズに合っていないとかそういった事情もあるようです)

 

空室だと、先ほどのような利用上制約がかかるということがありません。(少なくとも課税当局はそう考えます)空室部分は、減額がかからないということになります。(小規模宅地の特例なども使えません。)

 

一時的空室

そう入っても、相続が発生した時にだけたまたま店子が入っていなかった(その前後は安定して店子が入っていた)というような場合だと、ちょっと実態に即しているとはいえません。

 

ですから、「一時的な」空室であった場合には、店子が入っているものとして評価が下がります。(一時的かどうかは貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲|財産の評価目次一覧|国税庁のページからある程度は分かりますが、総合的な判断なので難しい場合は専門家に相談です)

 

ちなみにですが、相続税を勉強している人の間では「一時的空室」という考え方は一般的なのですが、一時的空室は「マンションやアパート」などのいわゆる集合住宅にだけ認められる考え方であって、戸建の場合は認められません。