資金繰りや節税、自社の財政状態などを知るためには経理の仕組みを知っておく必要があります。会計ソフトの入力のコツを知っておけば、(自分で入力はしなくても)データの見方がわかってきます。
会計ソフトにダイレクトに入力
取引を記録集計するのに、昔は振替伝票などという書類を1回作成してから集計していました。
いまは、パソコンが普及したので記録集計するソフトである会計ソフトに直接入力します。
場合によっては、ネットバンクのデータなどは会計ソフトにデータのママ取り込めるので、入力の手間自体も減らすことが可能です。
手順を確認
どんな流れでもやりやすい方法でいいのですが、記帳漏れを防ぐためにルーチン化しておいた方がいいでしょう。
一般的には、通帳等から預金関係を入力→現金→売上・仕入→その他→最後に確認です。
預金通帳に出ているデータは、証拠が残っているので一番確実です。まず預金通帳から見気になるデータを作って、そこから現金、仕入、売上、細かな経費というように枝葉を付けていくわけです。
勘定科目と摘要を理解する
取引内容は日付、勘定科目、摘要、金額という形でデータになります。
日付、金額はいいとして、勘定科目と摘要をしっかりと使いこなせれば経理書類がわかりますし、会計ソフトの入力も一段ランクアップします。
勘定科目とは
会計データ・経理書類を作成していく上で、取引内容を整理し分類する為の名前(いわば取引につけるラベルのようなもの)です。
基本的には、名称がそのまま内容を表していますので、深く考えなくてもよいのですが、なかにはガソリン代などのようにどの科目を付せばいいのか迷うものもあります。
ガソリン代については、移動にかかる費用なのだから「旅費交通費」にするべきだとの考え方もありますし、車両に関わる費用だから「車両費」、あるいは車の使用とは切り離して考え、事業の為に消耗されるものとの考え方から「消耗品費」で処理したりします。
勘定科目の決め方は法律ではない
勘定科目は法律などでこの取引はこの勘定科目にしなさいとは決まっていません。
ですから、常識的な範囲でこちらが決めれば良いのです。上の例で言えば「旅費交通費」「車両費」「消耗品費」のいずれも正解となります。
まずは、勘定科目と取引内容がイメージとして紐付くように設定するべきでしょう。
ただし、いったん採用した勘定科目名はずっと続けましょう。頻繁に勘定科目を変更すると、自社の経理データの過去と現在を比較できなくなってしまいます。
ガソリン代の例ですと、
いったん「旅費交通費」で処理をすると決めたら、ずっと「旅費交通費」で続けるということです。
今期は「旅費交通費」で処理するけど、来期は「消耗品費」で処理して、その次の期は「車両費」で処理するとデータとしての信用性が著しく落ちてしまいます。
直感に従う
「取引」と「勘定科目」がイメージでしっかり紐付いていることが重要です。
経理担当者や社長が、勘定科目を見たときにどういった取引なのかをイメージできるように直感に従って勘定科目を決めるというのも一つの方法です。
初心者の場合、勘定科目辞典などといった書籍やネットで調べられるので、どのような勘定科目があり、どういった取引内容なのかを知っておきましょう。
経理や会計における勘定科目は、英語で言うアルファベットみたいなものですから最低限走っておかないといけませんので。まだ日本語な分だけわかりやすいと思うのですが…
細かすぎず大雑把になり過ぎず
管理目的に優れているからと、勘定科目を細かく設定している会社があります。
勘定科目が科目が多くなりすぎますと、経理担当者が入力の際大変ですし、試算表などの経理資料などを見るときにも分かりにくくなります。
かといって、大雑把になり過ぎると情報量が少なく意味の薄いものになってしまいます。
一概にどのくらいの数がいいのかは、会社によって違いますが「細かすぎず大雑把になり過ぎず」を心がけて下さい。(税理士に相談するのも良いと思います。いろんな事例を見ているので適切なアドバイスをくれるでしょう)
一般的な会社だと、勘定科目数は30くらいが適正とも言われています。あくまで一般論ではありますが、50とか60はあまりにも多すぎるでしょう。
雑費、仮受金、仮払金は極力へらす
「雑費」「仮受金」「仮払金」という勘定科目は極力減らすべきです。
「雑費」とは雑多な経費という意味なんでしょうが、いったん使い出したら何でも処理出来てしまいます。
便利なのはいいのですが、情報としての価値がありません。去年から雑費が20%増えたしても、試算表などの経理書類を見る上では役に立ちません。
「仮受金」「仮払金」も、具体的な内容は不明だがお金をもらった若しくは支払ったという勘定科目です。
内容不明の勘定科目があるということは、自分でうちの会社はいい加減な経理をしていますといっているようなものです。
情報としての価値がないだけでなく、税務調査や融資の際にも嫌われてしまいます。
摘要とは
摘要とは、簡単に言えば仕訳(最小単位の取引データ)の説明文です。
勘定科目だけだと取引内容の詳細が分からないため、補足説明として「摘要」を用います。
具体的には、誰に・何をしたか→支払先名(取引先名)・取引の具体的内容を摘要として入力します。
摘要は取引先名・取引の具体的内容の順に
勘定科目は、取引のラベルのようなものですから詳細な内容まではわかりません。
ですから、摘要という補足の説明文を入れることで情報量を補うのです。
勘定科目でおおまかなラベリングを行い、摘要で具体的な取引内容を説明するということです。
また、摘要の目的としては他に①税務調査の際にきちんと帳簿を付けているとアピールするため ②内部管理のため といった側面もあります。
慣れていないと、摘要に何を入れて良いのかわかりません。
まずは「取引先の名前」と「具体的な取引内容」を入れておけば充分です。
飲食代を「会議費」で処理する場合も「飲食代」とだけ記載するよりも「〇〇(店の名前) 飲食代 4名」等のように記載している方が、取引内容の詳細が伝わります。
また、取引先に手みやげを持っていった場合も「接待交際費」で処理することになりますが、「お菓子代」とするよりも「〇〇百貨店 お菓子 贈答用」とするほうが手みやげで持っていったことが明確に分かります。
取引内容が明確に分かれば、内部の経営管理にも活かすことができますし、データ処理上の間違いも格段に減ります。
そのうえ、内容が詳細に伝わるので税務調査時のリスクが小さくなります。
摘要は後で検索することも考えて
先に述べたように「摘要」は、内部管理などのデータとしても利用します。
したがって、会社で入力ルールを定めておく必要があります。
「取引先名」「具体的な取引内容」と入力する、それぞれの間にスペースを入れる。Excelなど別資料に加工したり分析するため。
全角と半角が混じっているとデータとしての価値が著しく落ちるので、全角可半角いずれかに統一する。(会計ソフトの摘要欄は入力出来る文字数に限りがありますので、文字数がたくさん入力出来る半角の方が主流です)
水道代や電気代、電話代、家賃等は毎月同じ取引が行われます。
同じ取引なので、「関西電力 電気代」とだけ入力しまいがちですが、「関西電力 電気代 ◯月分」と入力していると決算の際に入力漏れが無いかひと目でわかって便利です。
手形関係は、決済期日と銀行・支店名を入れておくと決算作業の際に便利です。忘れずに入れておきましょう。
消費税の課税事業者は税区分を考慮
摘要は、消費税の課税・非課税の判定についての判断根拠にもなります。
とはいえ、消費税は専門的で分かりづらいので、
国内取引と国外取引は分けておく
軽油引取税
ゴルフ場利用税
などは分けておくと良いでしょう。
他にも色々ありますが、摘要をしっかりと整備することで消費税の払いすぎ若しくは不足といったリスクを減らすことに繋がります。
おわりに
経理がいらないという会社はありません。
外注するというのも方法論の一つではあるのですが、外注するにしろ、自社で処理をするにしろ
勘定科目や摘要について知っておくことは経理の精度を高め、ひいては資金繰りや節税につながっていきます。
こういった仕組みづくりができていない場合には、税理士と相談して仕組みを作っていきましょう。