よくない決算書〜いつまでも消えない仮払金

仮払金は、金額や内容が不明なため、「仮に」支払ったという勘定科目ですが、これは「一時的な」科目なので、いつまでも残っていると具合が悪いです。

仮払金とは

仮払金とは、金額や支出内容が不明なため暫定的に処理をしておく科目です。

例えば、預金通帳に何かよくわからない出金があったとして、出金について処理しないと通帳の残高が合いませんから、仮払金と暫定的に処理します。

暫定的に処理するための勘定科目ですから、本来なら仮払金は、のちにキチンと調べて、正しい勘定科目に修正しなければなりません。

残れば決算書は不完全

仮払金は、正しい処理(取引内容)がわかるまでの暫定的な勘定科目ですから、決算書に残るのはあまり好ましくはありません。

決算書は、その期間の取引内容を全て精査したうえで、正しい勘定科目に集計するものですから。

仮払金が決算書にあるということは、「支出内容が不明な取引が残っている」ということなので、厳しく見れば、決算の不完全性の証明ともいえます。(中小企業では、仮払金の本来の意味を取り違えて使っていたり、そのまま残っていたりするところがありますが、好ましくないのは明白です)

しかし仮払金は残る

決算書に仮払金は無い方が良いのですが、仮払金が計上されることもあります。

例えば、出張旅費などを概算先渡して、まだ未清算の場合などです。これは、やむを得ない面もあるため、残っていても問題にならないでしょう。(正しく精算されるのが前提ですが)
こういったやむを得ない場合もあれば、単に慣習的に仮払金を使っている場合もあります。
得意先・従業員にお金を貸した場合など。

短期貸付金とすれば良いのでしょうが、仮払金としてしまっている。
その経理担当者の、判断などでその科目を使っているのでしょう。

いつまでも消えないのはダメ

やむを得ず、あるいは慣習的に仮払金を使っていたとしても、すぐに消えてしまうのであれば大きな問題にはなりません。

いつまでも消えないで残っている仮払金は問題ありです。
そもそも、いつまでも残っているということは「仮」では無い。
暫定的というのは、一時的とも言い換えられますが、いつまでも残っているものは一時的では無い、ということ。

残っているならば、原因を調べて然るべき処理をすべきでしょう。
ずっと同じ仮払金が残っていれば、ずっと「仮」のまま放置する会社だと思われても仕方ありません。