「中小企業」という言葉には、時にネガティブな響きを感じることがあります。経営者の中には、自社のことを「中小企業」と呼ばれるのを不快に感じる方も少なくありません。そこで最近では、「中小・中堅企業」や「中堅企業」といった表現に言い換える動きも見られます。
本記事では、呼び方ひとつで企業イメージがどう変わるのか、なぜ「中小企業」という言葉が敬遠されがちなのかを掘り下げ、実務的な視点から考察します。

なぜ「中小企業」が気になるのか?
中小企業のオーナーなどに、その会社のことを「中小企業」というと気を悪くする人が結構いるので、「中小・中堅企業」とか「中堅企業」と呼ぶほうが失礼に当たらないと言われます。
たしかに中小というとなんとなく大企業よりは劣るというイメージが先行してしまって、良い感情を持たない人がいても不思議ではありません。
企業のオーナーとしては、自分の会社は「他の会社よりは良い」と思っているわけですからひとくくりに「中小企業」と言われると(実際にそうであったとしても)あまり面白くないというのは、よくわかります。
実は中小企業が大半という現実
中小企業庁のデータをみると、全企業の約99%は中小企業で、労働者の約7割は中小企業で働いているそうです。
中小企業の定義をどう捉えるかの問題もありますが、データの上では中小企業は多数はといえるかもしれません。
「中小」という言葉だけで好ましくないイメージが多少なりともありますが…
大企業に比べて中小企業のほうが倒産のリスクが高いとか、大企業よりも中小企業のほうが給料が安いとか…たしかにそういった傾向がないとは言い切れませんが、そうでない会社もいっぱいあります。大企業でも所謂ブラック企業はありますしね。
呼び方が企業イメージに与える影響
おそらく「中小」という言葉が「大」よりもネガティブなイメージがついているのかもしれません。企業の実態は経営者か株主くらいしかよくわかりませんから、会社の規模が大きい=いい会社と短絡的に考えてしまうのでしょうね。
ポジティブな言い換えは可能か?
行政などが、その目的のために「中小企業」という分類をするのは仕方のないことだし別に問題ないと思いますが、それ以外の場面では「中小企業」に代わる何かポジティブなイメージのする言葉を作ればいいのにとも思います。
やはり言葉の持つイメージに、人間は縛られがちですので。
そのように考えると、中小企業のオーナーに対して「中堅企業」と言い換えて発言する人は、(他に良い言葉を思いつかないので)苦肉の策かもしれませんが、イメージの持つ意味合いがわかっていて、ある種「賢い」人なんだと思います。