経営者ならアタリマエのことですが、そうでない人にとっては知らなかったということはよくあります。中小企業では、黒字決算にするか赤字決算にするかをある程度はコントロールすることが出来ます。
決算はある程度までならコントロールできる
別に悪いことをしているわけではなく、合法的なことですが、決算の数値はある程度であれば会社がコントロールできます。
決算の2.3ヶ月前になれば、決算の予測が出ます(出来ます)から、そこから売上や経費をコントロールすることができれば着地点も、ある程度はコントロールすることが可能です。
もちろん、どんぶり勘定でやっていたり普段の経理が杜撰だったりするとその限りではありません。
決算をコントロールできるとして、黒字にした方がいいのか(利益を出す)、赤字にした方がいいのか?考えどころです。
黒字決算の方がいいに決まってる?
税金や資金繰りのハナシがなければ、黒字決算の方がいいに決まってます。会社は儲けるためにあります(営利企業)から、利益が上がっていなければ存在意義が疑われてしまいます。
ただ、ハナシはそうカンタンではなく、黒字決算すなわち利益が出ていると税金の問題がついて回ります。会社が払う税金は大抵が利益に対してかかってきます(代表選手は法人税)ので、利益が大きくなればなるほど、普通は支払う税金も大きくなります。
利益以上に税金がかかることはないわけですが、税金を多く払うことにメリットはそんなにはありません。当然の義務を果たしただけです。
税金を払う事自体は義務を果たしただけですが、融資対策と考えるとメリットはあります。税金を支払っているということ、すなわちしっかりと利益が出ているということは、金融機関からみると魅力的です。
金融機関はお金を貸してくれるところですが、貸したお金は回収しなければなりません。お金を回収できるかどうかは、その貸した会社の利益にかかっています。利益から貸したお金を回収するわけです。
だから、利益が出ている会社はお金を貸しやすいということはいえます。(利益だけで融資が決まるわけではありませんが、赤字がずっと続いているよりも遥かにいいです)
赤字決算のメリット
赤字決算、すなわち決算で損失を計上してしまうことですが、損失が出ているということは利益に掛かる税金はほとんど払わなくて済みます。(消費税は利益にかかっているわけではないので支払わなければならない場合が多いですが)
また、法人税では赤字を一定期間繰り越すことが可能です。つまり今年の決算で500万円ほど赤字を出したとしても、その赤字を翌年に繰り越せるので、翌年は500万円まで利益を出しても、前年の赤字と相殺されて税金(法人税など、ただし全てがゼロになるわけではなく赤字でも一定の税金は支払います)が発生しないのです。
損失を出してばかりだと、会社が存続できませんから、赤字をずっと続けるということは出来ませんが、税金だけを考えれば、状況が許せば赤字決算を組むというのも選択肢の一つと考えられます。
また、赤字決算が続いていると税務調査が来にくくなる(身も蓋もない言い方ですが、赤字の会社は利益が出ていないわけですから、税務署からすればとるものがないので、来づらいということなのですが…)と言われています。あくまで来にくくなるだけで、赤字でももちろん来る場合はあります。
まぁ、メリットといえるかは微妙ですけどね。
状況をよく考えて
決算を黒字にするか赤字にするかは、税金、融資、資金繰りなどさまざなま問題が絡みます。
その時々で、これらの中でも優先順位が変わるでしょう。
税金は払いたくないけど、融資は受けたいみたいないいとこ取りは難しいので、よく考えてベターな方法を選択していくしか無いということでしょう。