会計の勉強をしていると「会社は永遠に続く」という前提で物事を考えますが、永遠には続きません。
ゴーイングコンサーン
会計の世界での考え方で、会社は永遠に続くというものです。
「会社は永遠に続いていくから、期限を区切って利益計算を行う必要がある」という。
たしかに、理屈上はそうなんでしょうけれど実際の世界ではそんな事はありません。
特にわれわれ税理士が目にする多くの企業は、明確に寿命というものが存在します。
会社はいつか無くなる
会社つまり、法人は自然人と違って死なないと思われがちです。
が、倒産することもよくあります。
堅実に経営して倒産からは縁遠かったとしても、経営者が死んでしまうことはあるでしょう。死ななくても、その前に引退するとか。
一定の規模以上の会社であれば、経営者と会社は別だと言えますが、それは上場するような規模感の会社の話です。
世の中にある大半の会社は、経営者=社長ですので、社長が辞めてしまえば、会社は終わりです。
組織として、会社が続くという理屈はわかりますが、たとえば社長が交代したとして、器が同じだけで中身は変わっています。
中身が変わってしまえば、別の会社と言えるでしょう。
事業承継の難しさ
会社の経営者をバトンタッチさせることを難しい言葉で、「事業承継」といいますが、事業承継の難しさはまさにここにあります。
社長=会社の状態のときに、社長を変えて会社が同じままでいられるのか。
国などは、器としての会社を存続させるための制度を充実させているので、これらの制度を使えば器としての会社は存続するでしょう。
しかしながら、社長=会社であれば中身が変わってしまって、そのまま事業が進められるのかは誰にもわかりません。
取引先や従業員の中には、前の社長のほうが良かったと(合理的な数字による判断ではなく、心情的に)思うのも無理からぬ事でしょう。
永続しないということを肝に銘じて
自分で商売をしている人以外はどこかに勤めることになりますが、なるべく安定した会社が良いと考えます。
しかし、会社は永遠には続きません。
そこは割り切って、おかないと会社と運命を一蓮托生にするというのは危険すぎます。
そう考えたときに、公務員は良さそうと思われるかもしれませんが、公務員も自治体が永続するとは言えないし、大きな自治体であっても政治的なインパクトのある事柄が起きたときに、安穏とはしていられないでしょう。
会社は永遠は続かない、と意識しておくだけでも随分と心構えが変わり取り組みも変わると思うのですが。