資格で開業の有利性

国家資格を取得しても開業しない人も増えているようですが、自分で事業をしていないものの発言は説得力に劣ります。人の生き方の問題なので、なんともいえませんが、資格で開業するのは有利な面も多く、チャンスが有ればやってみたほうがいいと思います。

スモールスタートが可能

税理士を含め資格で開業する場合、比較的小規模で始めることが可能であり、有利な点です

・事務所にお金をかけなくて良い

飲食業や美容業、小売店などのように立地の良い場所に路面店を出さないといけない業態ではありません。

設備を要する業態でもありませんから、事務所を設置する場所に制約がありません。

ですから、比較的小さな予算で事務所を調達することが可能です。(好みは分かれますが、自宅兼事務所というのも可能です)

・運営費用が少なくて済む

税理士業などの「資格業」は、パソコン・専用のソフト、ネット、それらを設置するスペースが有ればすぐにできます。

これらもお金をかけようと思えば際限なくかけられますが、そこまで大きくお金をかけなくとも性能の良いものはあるので、運営費用はあまりかかりません。

おそらく最も大きなコストは「人」でしょうが、雇わないとか少数精鋭にするとかで、運営費用は抑えることが可能です。

・在庫がない

資格業は所謂「在庫」がありませんから、在庫管理の手間もないし、在庫にかかるコストもありません。

商品売買業であれば、検品したり棚卸したりと在庫の管理も必要だし、商品を保管するための倉庫代や商品のための保険料などのコストも増えます。

商品を大量に抱えるには、それ相応の運転資金も必要ですから、在庫がないというのは手間もそうだし、金銭的にもメリットは大きいです。

ただし実際には、在庫に代わって勉強をすることによる知識の絶え間ないアップデートが必要ではありますが、資格で開業するような人間は勉強がそこまで苦にならない人たちですから、問題ないでしょう。

ビジネスモデルが出来上がっている

資格で開業する際、リスクとなるのは資格が取れるかどうかくらい(このリスクは極めて大きいです)で、それ以外に特有の大きなリスクはありません。

これが他のビジネスだと、ビジネスモデルを構築する必要がありますが、資格で開業の場合には、既に出来上がっていますから、そのリスクもありません。

ビジネスモデルが分かりにくければ、商品と言い換えてもいいですが、真新しいビジネスモデルや商品は説明するところから始めないといけませんが、弁護士や税理士が提供するサービスは、既に認知されていますから、これは大きなアドバンテージです。

・資格によってビジネスモデルが違うのは注意

ただ、資格によってビジネスモデルは若干異なります。
税理士は顧問契約のお客さんと長く付き合うため、客つきは悪いけれど、積み上げ型である(今風にいえばサブスクリプション型)メリットがあります。

司法書士などは、顧問契約は少なく単発案件が中心となりやすいため、客つきはいいです。
それぞれの資格によって、ビジネスモデルも違うため、一概に資格で開業といっても、その手法は異なるため、自分に合った資格を選ぶのが重要ですし、そうでなければ悲惨なことになります。

参入障壁が高い

資格で開業は、最大のデメリットとして「資格が取れないかもしれないリスク」があります。
資格が取れたとしても、ある程度年齢を経てしまうと役に立たないということもあるので、資格取得にかかる時間もリスクの一つですが、これも広い意味では「資格が取れないかもしれないリスク」に含めて考えて良いでしょう。

これは、既存の開業者にとっては有利な面でもあり、参入障壁の高さに繋がります。
参入障壁が高ければ、「障壁の向こう側」にいる人たちにとっては、市場を脅かされたません。
そう考えると、試験が難しく資格取得に時間がかかるというのもポジティブなことかもしれません。(やってる最中は、そんなことは思いもしませんが…)