一人の税理士が見れるクライアントの数の限界

一人の税理士が見れるクライアントの数は限度があり、おそらく20社弱というのが個人的な見解です。

税理士業務は限界あり

税理士の最大の業務は、決算申告です。会社や個人事業主の一年間の成績をとりまとめ、税金を計算して申告書を作成する一連の業務です。

単に数字をまとめるだけであれば、大した手間もないのでしょうが、今後の動向や社長の意向なども考慮して、数字を練りこんでいくことが必要です。

当然、会社との折衝や打合せ、資料のやりとりが必要なので、時間がある程度拘束されます。
時間が拘束されるので、必然的に一月あたりに処理できる決算の数は限界があります。

一月あたり2社が目安

決算月でない他のクライアントの業務もこなさなければならないことを考慮すると、決算ができるのは一月あたり2社くらいです。

そのクライアントの経理レベルや規模にも左右されますし、うまく調整がつけば瞬間最大風速を吹かせて4社くらいまでならできないこともないです。

ただ、毎月4社の決算を処理し続けられるかといえば、これは明らかに無理です。

業務が集中する月もある

年末調整や法定調書が代表例ですが、全てのクライアントに共通してしなければらならない業務があり、しかも時期が集中してしまいます。

となると、その月に沢山の決算を抱えることは困難です。

年末調整の必要な12月に決算を3社も抱えることになると、業務に忙殺されるでしょう。

稼働日が少ない月もある

大型連休のある5月などが代表ですが、稼働日の少ない月は決算のスケジュールがキツイです。稼働日が少なくても、決算の締切は変わらないので。

なので、3月決算で5月に申告する法人は多いですが、税理士事務所としてはあまり嬉しくありません。場合によっては、決算月を変更してもらうこともあります。

以上から20社が限界

平常月で無理なく決算ができるのは2社。少し詰めれば3社くらいまでなら大丈夫。
1年は12ヶ月あるけれど、業務集中月や稼働日の少ない月があることも考慮すると
2社×12ヶ月=24社よりやや少なくなって、おそらく20社くらいが限界です。

もちろん人によってキャパシティは違うので、30社やっても平気な人もいるでしょうが、他の税理士に聞いてもだいたいこんなもんです。

また、決算をこなすという観点以外からも述べますと、定期的にやりとりのあるクライアントさんについては、ある程度の内容を常に頭の中に留めておかなければなりません。

不意にご質問やご相談を受けたときもある程度的外れなことを言わない為でもありますし、頭の中にとどめておくとパッと良いご提案内容が閃いたりするからです。(勿論、完璧に暗記しているわけでなく大まかなポイントを押さえておく感じで、必要に応じで資料などは確認しますが)
とすると、頭の中にとどめておけるクライアントの内容に限りがあり、やはり20くらいかなぁと。

決算以外もすることも

税理士は相続税の申告や、法人設立、融資のサポートなど決算業務以外もします。その余白を残しておくとすると、やはり上限は20社がギリギリな気がしますし、個人的には10数社でも大変な気がします。

あくまで税理士自身が決算をするなら

上記の推定は、あくまで税理士自身が決算をすることを前提としています。

税理士の業界にいれば、あるいは関わったことがある人ならば、税理士事務所には税理士でない人も多くいるというのはご存知のことと思いますが、あまり知られていません。

税理士でない人でも、最終的に税理士がチェックするから問題ないというスタンスであれば、もっと見れるクライアントの数は増えるでしょう。