税理士に依頼できない業務

税理士と顧問契約を結べば、さまざまなことに相談に乗ってもらえると思いがちですが、依頼できない業務もあります。なかなか、そのあたりの線引というか判断が難しいので。

契約範囲外のこと

契約に含まれていない業務は行えません。たとえば、月額顧問料の中に含まれている業務の範囲は、会計データのチェックや決算の予想、それらに伴う税務相談などが主体です。

源泉所得税の管理などは含まれていないことが多く、もちろん顧問契約の範囲内でやり方をお教えすることはありますが、作業全般を肩代わりすることはできません。

どれが契約に含まれていて、どれが含まれていないのかは、ついつい忘れてしまいがちですが、放ったらかしにできないものを忘れていると、思わぬリスクになりますから、気をつけなければならないでしょう。

自社で出来ない場合は、顧問契約の範囲を見直し報酬を改定するよう打診すれば、相談に乗ってくれるでしょう。(顧問料を変えずに業務範囲だけ変える打診をすると、最悪の場合には税理士側から契約を打ち切ってくることもありますから要注意です)

また、ちょくちょく見かけますが、契約には入っていないけれどサービスとして税理士事務所がやらざるを得ない状況に陥っているような場合です。やりすぎるとお互い不幸ですから、定期的にこれは契約の範囲か?を確認すべきでしょう。

人事労務関係

税理士は税法の専門家ですから、人事や労務に関しては門外漢です。
ただ、良い税理士は一般的な人事や労務などのことも勉強しているので、相談には乗ってくれるでしょう。

とはいえ、専門家ではありませんので、たとえば雇用関係の助成金の手続をお願いしたい、と言われても(法の縛りもあるので)対応できません。
個人的には、人事労務のことは会社側が勉強して、役所に聞きながらでも対応できるので、それでいいかと。

おそらく、多くの経営者の方もそう考えていて、結局のところ顧問でいるのは税理士がほとんどですから、税理士に(ダメ元で)聞いてるだけなんでしょうけど。

法律に反すること

専門家は須らく法を守らなければなりません。専門家でなくても法は守らなければなりませんが、専門家はそのハードルが高い。

ですから、法律に反する行為に手を貸すことは断じてあり得ませんし、そのような行為を依頼されるのも心外です。税金でいえば、誰もが税金は払いたくないものですし、税金の申告もややこしくてめんどくさい。

でも、それは義務ですし、他のみんなはそこをグッと飲み込んでやってるわけです。
そこを飛び越えて来ようとする人は、信頼もできませんので、ご縁がなかったということでお引取りいただくほかありません。