税理士からもらう書類が分かりにくいとき

税理士からもらう書類がわかりにくいときもあります。

どんな書類があるか

税理士からもらう資料は、一般的には試算表が渡されることが多いですが、試算表だけではわかりづらいことも多く、そんなときは自社にあった資料を作ってもらうのもひとつの手段です。

試算表とは

試算表とは、一定の時点までの数字を取りまとめた書類です。
一年(会社の事業年度)を通じて数字を取りまとめ、精密に必要な修正を施したものが「決算書」なので、試算表は決算書の簡易版で、尚且つ決算書の「◯分の一」ということになります。
ただし、試算表はあくまで簡易的な数字をまとめたものに過ぎず、決算の際に数値を精査することで、内容が変わることは留意しなければなりません。

試算表は一定の期間の数字をまとめたものであり、単体ではよく分からない面も多くあります。
そこで、月ごとに数値をまとめて、これを並べたもの「推移表」などを用いる税理士もいます。
個人的には、推移表で数値が月ごとにどのように変動しているのかを見る方が分かりやすいと思いますし、私は推移表を中心にクライアントにお渡しし説明しています。

分からない

試算表であれ、推移表であれ、「よく分からない」というのは、「どのような数字を追いかけたらよいか分からない」ということでしょう。

どんな会社でも、売上がどのように変動しているのかは基本中の基本ですから、まず「売上」がどのように変動しているかを見ると、会社の大きなトレンドは分かります。
その変動に、理由を関連づけられれば、大きな目的の一つ「会社の傾向を知る」というのは大まかには達成です。

あとは、どのくらいの利益が出ているかを見るのも有効です。
売上と利益がわかれば、儲かっているのかも分かるし、税の予想も立ちます。
売上は増えていても、利益が横這いであれば、何らかの経費が増えているということで、依深い分析になりますので。
どのような数字を追いかけたらよいかわからない場合は、まずは「売上」「利益」を追いかければよいでしょう。

「売上」「利益」以外にあともう一つは、いわゆる「キャッシュ」を追いかける必要があります。
キャッシュとは会計の用語ですが、要は現金預金です。
何故キャッシュを追いかけるかといえば、利益とキャッシュ(とくに入金)は一致しないからです。
キャッシュがショートしないように、工面の方法を考え実施すること、つまり資金繰りこそが経営者の大きな役割の一つですから、キャッシュを常に把握しておくのは、とても重要なことなのです。
そして、キャッシュがそれなりに分厚くあれば、心の余裕にも繋がり、経営の余裕にも繋がります。
キャッシュは、通帳残高を常に一定のタイミングで見るように心がければ、試算表などを見なくとも補足できます。

どんな課題がある

上記の3つは、どのような会社であれ追いかけるべき数字ですが、これ以外については、その会社が、どのような課題を抱えているかに依存します。
会社によって課題は違うでしょうから、それぞれ異なるわけですが、勘定科目の特性を理解していれば、追いかけるべき数字(勘定科目)はそこまで悩む必要はないでしょう。
①会社にとってどんな課題があるのか、②その課題はどういった取引なのか、③その取引はどの勘定科目に現れるのか、と辿って行けば分かります。

また、今の①→②→③を逆から辿れば、その会社の課題を見つけることも可能です。
つまり、③普段に比べて異常な振れ幅のある勘定科目を探す→②その勘定科目の表す取引は何なのか→①その取引の問題点は?と考えるわけです。

以上から、試算表で解りにくい場合には、勘定科目が月別にどのように動いているのかを表す推移表などを用いるのが有効でしょう。その上で、さらに課題のありそうな科目について、個別の資料を作ったり(作成を依頼したり)、検討するという流れでしょうか。